医療機器クラス分類から見るCT装置

診断用機器

医療機器を人体へ及ぼすリスクから段階的にクラス分けした中で、CT装置はクラスⅡの管理医療機器に分類されています。CT装置が持つリスクについて、クラスⅡの定義あるいは他クラスとの比較をとおして見ていきましょう。

医療機器のクラス分類

医療機器は、「医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といういささか長い名称の法律に基づき、人体に与えるリスクの程度によってクラスⅠ~Ⅳの四段階に分類されます。まず、各クラスの定義について低い方から順に調べてみましょう。

【クラスⅠ】は一般医療機器にあたります。人体へのリスクは極めて小さく、使用に伴って仮に副作用等が生じた場合でも、生命や健康に関して害のある影響が生じるおそれはほとんどないものと見做されています。該当する機器の一例を挙げれば、薬の吸入に用いられるネブレイザや、経腸栄養注入セットなどです。

【クラスⅡ】は管理医療機器に分類されます。比較的軽い人体的リスクがあるもの、すなわち副作用や機能の障害が生じた際、生命や健康に影響を与えてしまうおそれがあるため、適切に管理されることが必要とされています。
後述するCT装置はここに分類されます。

【クラスⅢ】および【クラスⅣ】は「高度管理医療機器」とされています。クラスの違いで危険度に差があるにせよ、どちらも副作用または機能の障害が生じれば生命・健康に重大な悪影響を及ぼすものであり、安全性に充分配慮した使用・管理が必須です。

機器について一例を示すと、クラスⅢは放射線を用いた治療装置など、クラスⅣは血管内治療に用いられる冠動脈ステントやPTCAカテーテルなどが該当します。

CT装置がクラスⅡとされる理由

前項の分類において、CT装置がクラスⅡとされる理由は、人体に被害をもたらす危険性があるX線すなわち放射線を使用するからだと言えるでしょう。

CT検査では、円筒形の装置内に入った被検者の身体を360°方向からX線撮影し、そこから得られたデータを元にコンピュータ解析で身体断面図を描き出します。実際に身体を切り開かずとも、体内の状態を詳しく観察できるCT検査は医療において非常に有用ですが、同時に人体にX線を照射するというリスクを伴います。
生命や健康への悪影響を回避すべく、適切に定められた操作手順・操作方法が遵守されなければなりません。また、検査を受ける方が一定期間内に基準値以上の放射線を浴びることになってしまわないか等、事前の問診や診察による体調への配慮や危険性の有無の判断などにも注意する必要があります。

特定保守管理医療機器

人体に影響を及ぼすリスクという観点からのクラス分類とは別に、特定保守管理医療機器というカテゴリーも設けられており、CT装置はここにも該当します。特定保守管理医療機器とは、保守点検や修理その他管理に関する事項等に専門的な知識や技能が必要な医療機器であるという指定です。X線照射やコンピュータ解析が用いられた精密機械であるCT装置もまた、この指定に則り運用されることとなります。

まとめ

以上、医療機器のクラス分類の観点から、クラスⅡに該当するCT装置が持つ人体へのリスクやその対処について見てまいりました。クラスⅡの医療機器として適切な管理体制に置かれることにより、CT装置の安全性が確保されていると言ってよいでしょう。

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