心電図のU波からわかる事とは

診断用機器

今回はU波についてお話します。心電図を構成するに数多くの波が存在しますが、これらは電気的興奮を心臓に与えることにより、結果次第ではいろいろな病気の原因を知ることができるでしょう。

T波と対照的に・・・

このU波は「丘」に相当するものだと思ってもよいでしょう。T波は「山」であるのに対して比例することから、直後に登場するUの波形が1/2を越えることはないものと思ってください。

心室の興奮が冷める状態がQRS波であるのに対し、T波から始まりU波まで下ることを意味しているからです。これらはすべてP-P時間の中で起こっているからです。それだけ、小さなさざ波のごとく現れるものです。

正常値の目安

この波についてですが、U波の幅に関しては0.16~0.25秒程度で高さは0.05mV、もしくは0.1mVと定められています。前者については四肢誘導に、後者については胸部誘導にそれぞれ使われています。

参考までに対をなす存在のT波は幅0.10~0.25秒で、高さは四肢誘導が0.5mVで胸部誘導が1.0mVということです。このように心電図の波形を見るだけでもT波とU波がいかに相対しているのかを物語っていることでしょう。

異常から予測する症例</h2>
U波が異常示す波形が出現した場合には、以下の2つパターンから予測できる病状について紹介しましょう。

1.低カリウム血症の可能性

先に説明したように、通常はT波の波形の半分以上になる事がないU波が、出現した場合には、低カリウム血症がかんがえられるのです。この場合に起こるのが、ST低下ともにT波平低化やT波陰性化が表示されます。

2.虚血性心疾患

基線より下になる場合のU波は、陰性U波となりますが、この状態になった場合には、狭心症や脳梗塞を疑う事になります。これらの虚血性心疾患の症状は、高度の左室肥大によって、表示される対象は、左胸部誘導であるV4~V6において、陰性U波が現れる事もあるので注意したい症状なのです。このような状態の陰性U波は、高さに関係ない事も知っておく事です。

運動負荷による検査での陰性U波の出現は、感度は高くないものの、特異度は高くなっています。学会の報告によると、約90%以上における冠動脈の有意狭窄が認められているのです。おなじく、高度狭窄や左冠動脈主幹部の病変による重症脈疾患と関連が深いとされているので、その出現に注意したいものです。

まとめ

U波について紹介しましたが、小さな波の存在だといっても侮ることができず、場合によっては異常を見つける大きな警鐘だということです。

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