MRIとCTスキャンの違いとは?

診断用機器

MRI装置とCTスキャンは、どちらも身体内部の断面画像を撮影する検査に使用されます。似たような検査なのに、なぜ2通りに分かれているのでしょうか? その理由は、双方各々の特徴の違いによるのです。具体的にはどういうことなのか、両者装置の基本的な概要について比較しながら確認してまいります。

MRIとCTスキャン それぞれの原理

類似した検査内容となるMRIとCTですが、装置の原理については全く異なります。各々どのような原理なのか見ていきましょう。

MRIでは、磁気の働きにより身体断面図を写し出します。
水分すなわち水素と酸素の化合物等などのように、人体を構成する各器官には水素が含まれます。通常の水素原子核はそれぞれ向いている方向がバラバラですが、強力な磁界内ではその向きが全て等しくなります。MRIはその性質を利用したものです。

MRI装置は稼働中、中に入っている患者さんの身体に10000ガウスもの強い磁場をかけます。その時、患者さんの身体に含まれる水素の原子核は、全て同一方向を向くことになるわけです。そこに特定の周波数の電波を当てると、水素原子核の向きが違う方向に変化します。

電波の発生を止めると、水素原子核は再び元の向きに戻ろうとするのですが、身体のどの組織に含まれているかによって戻り方の速さに違いが生じます。この戻り方の違いを検出し、画像解析したものがMRI検査による断面図というわけです。

CTスキャンでは、レントゲン撮影と同じようにX線が用いられます。
X線は高い周波数を有する電磁波の一種であり、素粒子レベルで人体を透過することが可能です。その性質を利用し、レントゲン検査では人体を通り抜けたX線の像を写し取るわけですが、CTスキャンを用いたCT検査はこれをさらに発展させた方式と捉えてよろしいでしょう。

CT検査は、ドーナツ型のガントリという装置で患者さんの身体を360°方向からX線撮影することで行われます。ガントリ内部には、X線を照射する管球と照射後のX線を受ける検出器が向かい合うように設置され、回転しながらガントリの内側に位置する患者さんの身体にX線を当てその像を読み取っていく形式で撮影がなされます。

このようにして検出器から得られたデータをコンピュータ解析で画像化し、身体断面図を得るというわけです。

MRIとCTスキャン それぞれの特徴

前項で見た仕組みの違いにより、MRIとCTスキャンにはそれぞれ異なる特徴を持つと言えるでしょう。つまりは、その相違点を考慮に入れつつ使い分けがなされているわけです。
使い分ける際の第一の点として、X線すなわち放射線使用の有無が挙げられるでしょう。

検査にX線を用いる場合には安全性に充分配慮されているのは言うまでもありませんが、患者さんの容態やX線検査を受ける頻度等条件によって、使用を控えるべきケースもあり得るためです。

また、MRIはその原理の性質上、頭部等水分の多い箇所に対しては非常に有効ですが、構造的に水分の少ない肺等の器官では検査が困難です。MRI検査が難しい器官においてはCT検査を用いることになります。(骨は白く写り、空気は黒く写ります。空間を捉える撮影にはX線が効果を発揮するので、肺の検査に向いています。)

その他にも医療機器としての特徴の違いがありますが、これらを総合的に判断してMRI検査とCT検査どちらを採るか決められていると考えてよろしいでしょう。

まとめ

以上のように、MRIは磁気を用いCTはX線を用いるという構造的な違いから、医療の場においてはそれぞれの特徴に照らし合わせて使用されていることを見てまいりました。
参考にしていただける機会がありましたら幸いです。

ピックアップ記事

関連記事一覧