ファイバースコープと内視鏡の違いについて

診断用機器

消化器官など、人体内部に挿入し、どういう状態になっているか目視するための医療機器にファイバースコープと内視鏡が挙げられます。それぞれどのような原理および仕組みからななり、どのような違いがあるのでしょうか。調べていきたいと思います。

ファイバースコープとは

ファイバースコープは、光ファイバーを数万本束ねたケーブルの先端の一方に対物レンズ、もう片方の先端に接眼レンズが取り付けられている構造の機器です。

光ファイバーすなわちグラスファイバーは、無アルカリガラスを糸状に加工した素材であり、曲がった状態でも光を端から端まで伝達できるという性質を持ちます。これを応用し、対物レンズ側に写り込んだ光景を接眼レンズ側で目視することができるよう作られたのがファイバースコープというわけです。

ファイバースコープのケーブルは柔軟であり、直径も数ミリ程の細さであるため、小さな隙間から挿入し内部の状態を観察することが可能となります。医療分野ではその特性を活かし、消化器系や耳鼻咽喉部などを内部から見る検査に用いられます。

内視鏡とは

現代における内視鏡すなわち内視鏡システムは、人体内部に挿入して体内の様子を観察するのみならず、分析用の検体採取や治療措置など、より幅の広い医療行為を可能とする機器へ発展するに至りました。

構造的には、観察などの処置を行うビデオスコープと、そこから得た画像やデータを表示および記録するビデオシステム本体からなり、検査ではビデオスコープがメインに使用されることとなります。

ビデオスコープは、カメラなどが内蔵されている先端部およびケーブルと、そのコントローラーに相当する操作部で構成されています。先端部およびケーブルの直径は数ミリ~1センチ前後程であり、検査においてはこの部分が体内に挿入されるわけです。

先端部は、その小さな径口の中に、光ファイバー以上に精度の高い映像を得られるCCDカメラを始め、体内の観察部を照らす光源の役割を果たすライトガイド、必要に応じて空気や水を送り出すノズル、目的に応じて処置具を出し入れする鉗子口が内蔵されています。

これらのコントロールを操作部にて行うのですが、操作部から適宜処置具を通し入れて先端部の鉗子口から出す機能も備わっています。これにより検査用サンプル採取や異物の摘出およびポリープの切除など、観察以外の医療行為も可能となるわけです。

ファイバースコープと内視鏡の相違点

内視鏡とは元々、人体に観察器具を挿入し内部から観察する医療器具全般を指すものでした。現代医学においては、両端にレンズを取り付けたシンプルな筒状の硬性鏡が19世紀に発明されたのがその始まりに当たりますが、その頃はまだ挿入部をしなやかに湾曲させながら観察するのは不可能でした。

その後、カメラの技術を応用してそれを小型化した胃カメラや、前述のファイバースコープへと、医療技術の進歩に伴い発展してきました。つまりはファイバースコープも広義では内視鏡技術の一部と見做されるわけです。

そして現在の内視鏡システムへと至るのですが、前述の通り今や内視鏡は体内の状態を観察するのみに止まらず、多機能性を併せ持つようになってきました。現在では内視鏡とはもっぱら内視鏡システムのことを指し、その仕組みおよび用途からファイバースコープとは区別されるようになったと言えるでしょう。

まとめ

以上のように、医療分野におけるファイバースコープと現在における内視鏡について、
◆ファイバースコープは、糸状のガラス素材である光ファイバーが持つ、光を端から端へと伝達する性質を応用して人体内部の様子を見る医療機器
◆現在の内視鏡システムは、先端部にCCDカメラ他のノズルや鉗子口などを併せ持ち、人体内を見るだけでなくそれ以外の処置も可能とする医療機器
という違いがあることを確認してまいりました。

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