麻酔器のモニターの見方で安全な対応に備える

診断用機器

麻酔器には「ガス供給部分」と「呼吸回路部分」から成り立ちますが、それを観察して安全な管理と処置に備える為のモニタリングの機器が必要になります。安全処置に備える為にも、麻酔器のモニターの見方について詳しく紹介しましょう。

麻酔器の呼吸の仕組み

麻酔器モニターでは、呼吸の観察状況が中心となっています。呼吸の仕組みが、肺に対する空気の入れ替えをする事を換気として、呼吸によって酸素を取り入れて二酸化炭素を排せつする事で、ガス交換を行います。

肺によって空気と血液がガス交換する事を外呼吸と呼びます。それに対して、血液と細胞のガス交換の場合は、血液で運ばれる酸素が、細胞エネルギーを作り出す為にミトコンドリアで利用される事を内呼吸としています。

全身麻酔における人工呼吸器の場合には、自発呼吸ができない状態なので、人工的にコントロールする必要があり、モニターによる観察が安全に管理する為に必要なのです。

麻酔器のモニターの見方

呼吸のモニタリングに必要となる項目は以下で説明をしていきましょう。呼吸モニタリングで理解すべき重要な目的は、呼吸器系の観察において異常が発生した場合に素早く対処できるように観察が必要なのです。

人工呼吸装置に対しては、人工的に外力を加える事で、呼吸に対して適切に行われているかの確認と、機器の駆動状態が正常に作動しているのを確認します。

1.パルスオキシメーター
動脈血中にあるヘモグロビンに対して、血液中の酸素飽和度=オキシメーターを求めています。酸化ヘモグロビンと非酸化ヘモグロビンの分光吸収特性の違いがある事で、拍動の有無を利用して測定します。

実際の数値よりも数十秒程度反応が遅れるタイムラグを認識しましょう。酸素を投与している場合に、測定する役目が正確に機能しない場合があります。その為、呼吸状態の悪化などにより、酸素飽和度の低下を起こしてしまうので注意が必要です。

2.ヘモグロビン酸素解離曲線
酸素飽和度から酸素化の状態を知る為に、モニターの縦軸には、酸素飽和度の割合を表示し、横軸には、動脈血酸素分圧が表示されます。酸素分圧=PaO2が高い状態では、グラフは平坦な形となり、目安となる60mmHgを下回る事で、酸素飽和度が90%から70%にまで急激に低下します。

注意したいのは急激な低下で酸素飽和度が90%以上の場合にも、無呼吸の恐れや人工呼吸器などの異常などを再確認しましょう。

3.カプノメータのモニター
呼気に含まれる濃度を測定する機器として、二酸化炭素濃度により赤外線の吸収量が変化する事で、呼気終末二酸化炭素濃度が、動脈血に含まれる二酸化炭素よりも低い数値で示されます。身体で産生された二酸化炭素が循環されて、換気されて呼気として放出されます。換気条件や代謝条件を一定に保つ状態で、循環系のモニターとして観察します。

メインストリーム型の方法は、設置の仕方が気道に直接つける方法で、リアルタイムで表示できます。気道のうち血液とガス交換を行わない部分が増加する事や、比重によって気管チューブが折れ曲がらないように固定しておきましょう。

サイドストリーム型の場合は、麻酔器の回路から数値を測定する方法で、比重が軽いですが、低流量麻酔の場合には、数値が実際の値からずれる場合や、チューブが折れて測定不能になる事に注意しましょう。表示された数値に頼らず患者の状態を見ながら正確な判断を行いましょう。

カプノメータの波形は、第I相から吸気がはじまり二酸化炭素濃度はゼロになり、第Ⅱ相では数値が上昇し、第Ⅲ相では、ゆるやかな波形で上昇し、第Ⅳ相では、吸気がはじまるので数値が下降するまでの流れを繰り返します。

縦軸を酸素分圧=PaO2で表して、横軸を呼気と吸気を秒数で表します。二酸化炭素の欠落によって第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ相の呼気に影響してきます。気管チューブを食道に挿管した場合や閉塞など、呼吸回路の不具合がある場合や無呼吸での異常事態に注意をしましょう。

まとめ

麻酔器に取り付けられたモニターの見方について紹介しました。麻酔だけではなく、むしろ呼吸器系のモニタリングが重要になります。患者の呼吸器の観察で、安全な管理とすみやかな対応をする為に必要な備えなのです。

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