血圧計のカフの扱い方とマンシェットとの違い

診断用機器

血圧計の扱い方には、腕帯や測定時の姿勢である程度の誤差を想定する必要がありますが、カフと呼ばれる腕帯あるいは、ゴム袋の正しい扱い方によっても差が生じてしまいます。精密な測定器の扱いはデリケートなので、正しい扱い方を学ぶ必要があるのです。

カフとマンシェットとの違い

多くの人が、カフもマンシェットも同じ意味として扱っていますが、医療的には違いを分ける場合があります。マンシェットの場合は、帯状の腕帯全体を指しており、普段皆さんが使っている場合だと、マンシェットをカフとして扱っている事が多いようです。ある文献では、カフはゴム袋の部分を指す場合もありますが、ブラダーと呼ぶ場合もあります。

しかし、一般的には、カフ(英語)とマンシェット(フランス語)は、同じ意味で扱われていますので、ゴム袋を含めて帯状の腕帯の事を、どちらで呼んでも意味が通じることから、以後は、カフとして説明しましょう。

カフ=(マンシェット)の正しい巻き方

血圧計を正しく測定する為には、カフの位置など、正しい扱い方が必要です。

1.カフを巻く位置
カフのゴム袋の中央部分は、上腕の内側にくるように巻き付けて下側の端は、肘の関節から2cm~3cmほど上に位置しておきます。これは、上腕動脈の流れる位置に合わせる為であり、肘の関節部分の隙間から、聴診器を聞こえるようにする為に行います。

2.ゴム袋の中央部分を内側に巻く意味
血圧を正確に測る為には、カフのゴム袋を、上腕動脈を囲むように巻く事で、より正確に測定が行われます。上腕の外側部分を圧迫した場合やカフの布状部分だけで圧迫した場合は、血圧が低くなってしまいます。

3.肘関節の上にカフを巻く理由
カフと聴診器が接触した場合に、雑音が入って聞き取りにくくなります。また測定の時に、肘を曲げると聴診器の膜面が浮き上がってしまうので、外部の音まで聞こえてしまいます。肘を伸ばしたまま測定しましょう。

4.手首式の場合のカフの位置
素肌の上から、巻きやすい手首に巻き付けます。手首の位置からは、1~1.5cm程度で離しておきます。

5.ダイヤル式カフの使い方
カフの青い目印を内側にして、アームイン式のように上腕まで上げて位置を定めたら、ダイヤルを時計まわりにまわして(説明書に従い)空回りするまで巻き付けます。「測定/停止」ボタンで測定を行います。

測定の場合の注意事項

安静にした状態で測定を行う事が重要です。カフのゴム袋部分の幅は、上腕の長さに対して、3分の2程度にします。成人の場合に使用する幅は、12cm~14cmで使用します。カフの幅が広くなると、最高血圧が低くなる傾向を示して、幅が狭くなると、最高血圧が高めに測定されてしまいます。

リンパ節郭清を受けた患者に対して、血圧測定を実施すると、リンパ液の還流を悪くする事になり、カフの圧迫によって、上腕神経が影響を受ける事になり、しびれや麻痺の症状などの循環障害が起こる原因となるので、乳がんの患者などに対しては注意すべきです。

脳梗塞などで腕などに麻痺がある場合の患者には、麻痺のある腕の方で測定を行うと、末梢の循環が悪い為に、静脈血や組織液が停滞しやすい状況にあるので、健康な方の腕でカフを巻くようにしましょう。

血液の流量を増やす為に動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント造設をしている側においては「閉塞・狭窄」「感染」「出血」を予防する事ができなくなる恐れがあり、血圧測定をする事ができません。

まとめ

カフとマンシェットは、同じような意味で扱われています。カフの正しい扱い方を実施する事で、正確な測定を行う事ができるのです。正しい扱い方による、カフと上腕動脈の位置関係のしくみについても把握する事ができて、注意事項を守る事が患者の安全につながるのです。

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