ファイバー スコープ 胃 カメラ

診断用機器

健康診断の時期に「今度、検査で胃カメラ飲まないといけないんだよね」という会話をよく耳にします。
実は、現在では食道や胃などの消化器検査では「胃カメラ」は使用していません。
現在ではファイバースコープによる内視鏡検査が行われています。「胃カメラ」という言葉の方が世間一般に浸透していますが、医療や医療機器の関係者は胃カメラと内視鏡検査を混同しないように注意しておきましょう。

 

○胃カメラの歴史

1950年代は機器の先端にカメラがついた胃カメラ(ガストロカメラ)が胃の検査に使用されていました。
胃カメラの歴史は1891年にドイツのランゲとメルチングにより胃カメラの開発が進められましたが実用化には至りませんでした。
その後、1950年に日本で初めてガストロカメラの実用化に成功し、手術前の胃の状態確認や胃がんの早期発見に大いに役立つようになりました。

 

○胃カメラからファイバースコープへ

1960年代に入るとになるとアメリカで開発されたグラスファイバーと呼ばれる細くしなやかな管状の素材が大きく注目を集めるようになりました。このグラスファイバーは折れ曲がっても光を届けることができるため、直接覗き込むことにより食道や胃の粘膜などの消化器内を見ることができます。
細くて形状が一定ではない消化器内においても挿入がしやすいという利点もあり、「ファイバースコープ」という名称で浸透していきました。
このファイバースコープはカメラではなく先端にレンズがついているため、「内視鏡」と呼ばれます。胃がんなど消化器の病変は早期では表面の粘膜から変化が現れるといわれており、早期から治療を開始することで根治する確率が高まりました。
内視鏡検査は食道や胃、大腸や十二指腸、胆嚢などさまざまな臓器の検査ができようになり、検査だけでなく手術にも用いられるようになり現在の医療では必要不可欠となりました。

 

○ビデオスコープの登場

従来のファイバースコープはファインダーから直線覗き込まなければならないため、1人しか見ることができませんでした。
そこで、固体撮像素子CCDを組み込んだビデオスコープ(電子スコープ)が登場しました。
これはレンズが捉えた映像をCCDで電気信号に変換し、外部機器に転送してモニター画面に映し出すものです。
この技術により複数の医療従事者が同時に映像を見ることができ、医療の精度がより高まりました。
最近では画面の解像度も飛躍的に上がり、細かな粘膜の構造まで捉えられるように技術が進んでいます。

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