心電図の消毒を適正に行う方法と注意点

診断用機器

心臓の検査に必要となる心電図検査は、心臓のポンプのような動きから電気信号を捉える事で、心臓の電気的な興奮を表す過程を記録する装置です。不整脈や興奮伝導の異常を調べる医療機器として重要な役割を持つデリケートな機器です。心電図の消毒を適正に行う方法と注意点について紹介しましょう。

心電図の吸着電極の取り付けにも消毒が必要

心電図の検査には電極を取り付ける吸着盤とコード類やクリップ、モニターなどで計測します。

【胸部に電極を取り付ける場合に必要な順番と対処法】
〇装着の順番
1.電極の取り付け部分には、脂肪分の付着がある為に、アルコールによる拭き取り作業が必要になります。
2.アルコールで拭いた部分に、カルジオクリームなどをよく塗り込みます。
3.電極の接触部分に対しても、薄い量のカルジオクリームを塗り込みます。

〇使用上の注意
1.傷や炎症のある部分には装着はできません。
2.新しい電極と古い電極を織り交ぜての使用は避けてください。材質の異なる吸着部分も同時に使用するのは避けてください。電極の電位差が生じる事で波形の表示ができない場合があります。
3.手入れした電極を使用します。清掃や消毒をして保管しましょう。
4.水や生食水に1時間以上浸さないようにしてください。腐食が起こる事で心電図にゆがみが生じます。

心電図の設備の清掃や消毒の方法

1.吸着電極の清掃の仕方
吸着電極は、使用した後には必ず清掃を必要とします。中性洗剤や逆性洗剤を溶かした35度以下のぬるま湯を使用して、ガーゼや酒精綿でよく拭き取りをします。電極の油膜は、心電図の波形にゆがみを生じるので、消毒用のエタノールの濃度が77vol%~81.4vol%位までを使用します。柔らかい布を使用して強めに絞ってから拭き取ります。

2.消毒の仕方-電極や中継コードなど
消毒液を含ませた柔らかい布を使用します。
〇グルタールアルデヒド液が2%
〇塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液が0.5%
〇塩化エンカベンゼルコニウム液が0.2%
〇塩化ベンゼトニウム液が0.2%
〇グルコン酸クロルヘキシジン液が0.5%

3.清掃と消毒の注意事項
〇心電図の異常につながる要因となるので、カルジオクリームが付いた状態で、乾燥させない事や金属部分に濡れたままにしないようにします。
〇シンナーやベンジンなど有機溶剤の使用を禁じます。
〇可燃性の清掃消毒であるエタノール等の使用は、密閉空間を避けましょう。
〇煮沸消毒は破損につながるので禁じます。

4.モニターのディスプレイの場合
エタノールやイソプロピンアルコールを柔らかい布にしみ込ませて消毒します。薬品の液だれなどには十分に注意が必要です。デリケートな医療機器の故障につながります。

5.血圧中継のエアホース
〇塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液が0.5%
〇グルコン酸クロルヘキシジン液が0.5%

6.SpO2プローブ=動脈血酸素飽和度の検知器
〇グルタールアルデヒド液が2%
〇塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液が0.5%

まとめ

医療機器の扱いは非常にデリケートであり、使用上に適した消毒液を使う事が求められています。アルコール類などの可燃性の物質は、火災や人体に有毒になる濃度もあるので、容量や注意事項に気を配り適正な消毒を行う必要性がある事を理解しておきましょう。

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