レーザーメスの波長による機器の特徴

診断用機器

レーザーメスは、メスや電気メスと違って患部に直接触れない・出血を抑える働きがあります。治療目的により波長の適切なレーザー光線が必要になります。今回はレーザーメスの種類と、その波長・使用用途について解説していきます。

レーザーメスの仕組み

医療用のレーザーの種類は媒質と波長の違いで分けられます。
それぞれに用途が違い、低出力レーザーは血行促進・筋肉の緊張を和らげる働き等に利用され、高出力レーザーは切開・切除・血液凝固に使用され、レーザーメスはこちらに該当します。

光は可視光線以外にも反射しても目視で確認することのできない赤外線・紫外線・電波などで構成されていますが、レーザーメスは自然界における光と比べ「単一の波長」「進む方向が一致している」「位相が一致している」という違いがあります。

レーザーメスの種類と波長

前述したように医療で使われるレーザーメスにはさまざまな種類があり、機器により使用用途と波長が異なります。

ダイオード(半導体)レーザー

ガリウム・アルミニウム・ヒ素を使用するダイオードレーザーは、疼痛の緩和や創傷の治療促進に一番使われているレーザーメスです。高出力のハードレーザーは眼科や歯科の施術で使用されています。
波長:810nm

CO2(炭酸ガス)レーザー

炭酸ガスレーザーは、盛り上がったホクロやイボの除去といった形成外科手術・婦人科手術喉頭がん手術・子宮頸部がん手術の際に有効なレーザーメスです。メスで切除するときよりも傷が残りにくく、周辺の皮膚にもダメージを与えず施術できます。
炭酸ガスは水分に吸収されやすく熱エネルギーに変換されやすい特徴を持っているため、細胞が持っている水分がレーザーの熱を吸収・蒸散し患部組織を一瞬で除去します。
波長:10,600nm

Nd:YAGレーザー

Y:Yttrium(イットリウム)・Aluminum(アルミニウム)・Garnet(ガーネット)の、3種類の結晶を媒体にしたレーザー治療器です。歯科や美容外科で主に利用されており、短時間で瞬間的にレーザー照射を行うため皮膚を傷つけることなく、シミやアザを取り除くことが可能です。
波長:1064nm

ダイレーザー(V-beam)

血液の色に反応するレーザー光で、単純性血管腫や新生児にみられるイチゴ状血管腫毛細血管拡張症といった皮膚の良性血管病変に使われます。
従来のヘモグロビン治療に使用されるレーザーは、585nmの波長の色素レーザーで皮膚の深層まで到達しなかったため大きな効果を得ることができませんでした。ダイレーザーは595nmの波長で照射するため、深層部の治療を容易にするだけでなく、出力調整で症状に合わせた効率的な治療も可能になりました。
波長:595nm

まとめ

比較にされる電気メスの場合は、予算的に安価で簡単に導入することができ維持費も高くはありませんが、高温による火傷やペースメーカーに影響が出るといったリスクが伴います。同じ熱エネルギーを利用するレーザーメスは導入コストこそかかりますが、安全性の高い施術が可能になります。コンピュータ・ロボットを利用した精密な手術には必須の技術であり、今後の発展が非常に期待される分野といえます。

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