最新式CT装置に備えられている機能とは?

診断用機器

コンピュータグラフィックスにて人体内部の状態を描写する医療用CT装置。その誕生から現在に至るまで、機能的なバージョンアップを繰り返し、今や医療現場には欠かせない機器に位置付けられています。最新のCT装置にはどのような機能が備わっているのか見ていきましょう。

CT装置の原理と仕組み

CT装置は、外観的に大きく3つの装置に分けられます。中央の穴に人体を置く円環状のガントリ、患者さんが横になる寝台のクレードル、全体の操作部に当たるコンソール、その3つです。

ガントリの円環内部には、X線を放射する管球と、X線を検知する検出器が向かい合うように配置されています。これがガントリの円環に沿って回転しながら、クレードル上の患者さんにX線撮影を行います。

患者さんの身体を透過したX線の像は検出器がデータとして受け取り、これをコンピュータ解析することにより、人体内部の画像が現されます。これが、CT検査の大まかな仕組みです。CT検査は、原理的に見るとX線撮影の一種に位置付けられるものと言えます。

CT装置発展の流れ

CT装置では、頭からつま先まで縦方向に置いた患者さんの周囲を360°方向からX線にて撮影し、人体内部の状態を輪切り上の断面図として現します。このようなCT装置が始めて医療現場に登場したのは1970年代でした。

初期のCT装置では、ガントリ内部の装置が1回転するごとに断面画像が1枚作られる方式でした。検査箇所のについて充分な断面画像が揃うまで、撮影が1回終わるたびにクレードルをずらし、撮影箇所を変えて再度X線照射を行うという手順を取らねばならなかったわけです。

その後、技術の進歩により機能が向上し、1回の回転で撮影される断面画像が増加していきました。撮影1回で得られる断面が1列だったものが、複数列を同時に撮影できるマルチスライス方式へと発展したわけです。

また初期のような、ガントリ内部装置が1回転した後、クレードルの位置をずらして再度回転という手法にも改良が加えられました。それに伴って開発された機能がヘリカル撮影です。これは、ガントリとクレードルが連動し、ガントリ内部が連続回転しながらクレードルが移動するという方式です。

これによりX線撮影を中断することなく、1回で必要なデータを得られるようになりました。ヘリカル撮影では、検査箇所に対して螺旋状に撮影することもできます。その特徴を活かし従来の2次元的断面図のみならず、3次元的な立体としてデータ解析することも可能となりました。

最新式CT装置の機能

現在すなわち2020年時点で最新型に位置付けられるCT装置は、どの水準まで機能が向上し、どのような機能が新たに追加されるようになったのでしょうか。

機能の向上については、とくにマルチスライスの断面数の増加が挙げられるでしょう。2000年代の段階では、1回転の撮影で得られる断面数は64列の高性能水準でした。2020年時点ではそこからさらに発展し、320列のタイプが登場しています。

X線を扱うCT装置の使用では、被ばくリスクを考慮に入れなければなりません。これに合わせて近年では、X線量を調整するなど、被ばくリスク低減のための機能を備えたCT装置も開発されています。

まとめ

以上のように、CT装置の構造や原理を踏まえながら、CT装置の機能がどのように発展を遂げ、最新型に至ったのかを見てまいりました。今後も、機能性および安全性の観点からさらに高性能タイプが開発されていくであろうと考えられます。

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