CT装置と重さとの関係性

診断用機器

CT装置の仕組みは、被写体に対してX線を照射して、X線の吸収されやすさを利用して、画像に変換する再構成処理を行う事で、被写体の内部構造を把握できるようになります。では、装置の重さはどのように関係してくるのか紹介しましょう。

重さとは

物体に働く重力の大きさを示しており、単位は「ニュートン=N」で表しています。「物体に働く重力の大きさ」や場所によっても異なり、人工的な装置で重力を作り出す事によっても受け止める重力が変化して行くのです。物体に作用する力は、引力と遠心力が働いて重力に関係してきます。

ここで知りたいのは、重力加速度であるジーすなわち「G」と呼ぶ速度の事です。地球の引力による落下速度によって重力加速度を生み出す事になります。
力の定義をおさらいしましょう。
「力(N)=質量(kg)×加速度(m/sec 2)」です。

CT装置と重さの関係性

CT装置の仕組みは、大きな輪の「ガントリ(架台)」と、患者さんが横になる寝台「クレドール」と、コンピュータを使い操作を行う部分の「コンソール」の3つが、構成の大部分を占めています。

ガントリの内部には、X線を照射する「管球」が配置されており、それを受け止める為の透過X線の検出器が備わっています。管球の重さだけでも700kgにも及ぶ大きな重量となっており、検出器も含めて「ガントリ」部分だけでも大きな重量となり、総重量は数トン=1,000kgにも及ぶのです。

Gはどれくらいの大きさなのか

重力の加速度であるGは、重力が2倍になる事で2Gとなり、3倍では3Gと比例して行きます。例えば、エレベーターで受ける重力は「0.2G」であり、100kgの体重の人は、120kgの体重を支える事になります。「0.2G」の分の負荷を受け止める事になります。

スペースシャトルの発射の場合は「3G」となり、激しいジェットコースターでは加速度の最大値が「5G」となります。

CTのガントリが受ける重力

重量のある管球や検出器がガントリの中で、0.5秒以内で回転することにより、大きな重さの加速度としてG=重力がかかる事になります。その重力を支える装置は、大きな揺れと大きな音を伴いながら人体に影響がないように静止状態を維持する必要があるのです。

この場合のガントリにかかる重力は48.5Gにもなるので、その重力に耐えられる装置として重さが総重量に関係しているのです。

造影剤と体の重さとの関係

CT検査の場合には、造影剤を使用せず検査する単純CT検査と、造影剤を使用する検査があります。飲む造影剤の場合は、その効果によって胃・腸などの消化器の画像をより鮮明に映し出す事ができます。注射する造影剤の場合には、検査する部位や個々の体重に応じてその方法や必要とする量を変える事になります。

これによって、血管内や各臓器の血流の状態が鮮明に映し出されて情報の検出に欠かせないのですが、主治医が診断上必要とした場合に使用されます。

まとめ

CT装置の仕組みには、医療機器の重さが重力を受け止める為に必要であり、構造を支える総重量にも関係しています。特にX線を照射する「管球」や「検出器」を内蔵したコンソールだけでも700kgを超える重さが必要となるので、医療機器の重さと密接な関係を示しています。

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