ファイバースコープの重要部分・光ファイバーの作り方について

診断用機器

医療分野で活躍する内視鏡の1種に位置付けられるファイバースコープ。これは、光ファイバーの特徴を活かした医療機器に相当します。光ファイバーの作り方を踏まえながら、ファイバースコープの構造およびその原理について見ていきましょう。

ファイバースコープとは

医療用のファイバースコープは、人体の開口部から体内に挿入し体内の状態を目視で調べる内視鏡の1種として開発されました。

基本的な構造としては、ひも状の光ファイバーの1端に接眼レンズ、反対側の端に対物レンズを取り付けた仕組みとなっています。対物レンズ側を体内に押し入れていき、そこに映った光景を接眼レンズ側から見るという形で使用されるわけです。

光ファイバーは柔軟性があるため、対物レンズの向きを容易に変えられるようになっており、様々な角度から患部を観察できるようになっています。

食道・胃・気管支・胆道・12指腸・大腸・小腸などを検査する際に用いられ、鼻・口・肛門などから挿入されます。太さの直径は種類によって異なり、数mm~1cm程となっています。

光ファイバーの製造方法および特徴

ファイバースコープは、光ファイバーの素材的性質を応用した医療機器と言えます。その作り方を通して、どのような仕組みで対物レンズの捉えた光景が曲がりくねった管内を通して接眼レンズ側で見られるようになっているのか、確認していきたいと思います。

光ファイバーは、グラスファイバーすなわち繊維状に加工されたガラスの1種に位置付けられます。種類によってはプラスチックを原料としている場合もありますが、便宜上その類も含めてグラスファイバーと呼称されています。外観としては、透明な細い糸といった形状です。

材質的には、繊維の芯の部分に当たるコアの外縁をクラッドが覆っている構造となっています。その構造を作り出すために用いられるのが、紡糸という製造法です。その工程内容は次の通りです。

原料を入れる坩堝を2重構造とし、内側の坩堝にはコアとなるガラス、外側にはクラッドとなるガラスを溶かし入れます。そして2種類のガラスを坩堝の底の穴から同時に引き出します。これによって、コアをクラッドが包むガラス繊維・光ファイバーが作り出されます。

コアとクラッドは共にガラス繊維質ですが、コアの方が光の屈折率が高いという特徴的な違いがあります。そうすることにより、中心部のコアにのみ光が集められる構造が見出されます。

これにより、光ファイバーの1端から光が入射すると、それが糸状の側面から出ることなく、反対側の端のみから光が出る、という光ファイバー特有の性質が生み出されるわけです。

何かしらの物体を見ることを表す視覚とは、原理的に言えば、光を受けた物体から反射される光が目に入り込み、それを感知することを意味しています。すなわち「見る」という行為は、周囲の物体から反射された光を目でキャッチしているということになるわけです。

これを光ファイバーに当てはめると、周囲の物体からの反射光を光ファイバーの1端で捉えれば、その反射光が管内を伝達し、もう片方の端から出てくることになります。その光ファイバー内を伝わってきた物体の反射光を目で捉えれば、反対側の端の光景が見えるというわけです。

その仕組みを活用したのが、ファイバースコープということになります。

光ファイバー1本の太さの直径は約0.125mmと、極めて微細です。先端で捉えた光景がもう片方の端から見られるとはいえ、1本のみではあまりに微小なため肉眼で捉えることはできません。

そのため、数千本単位に束ねた配線状にし、両端に取り付けたレンズによって写像を拡大することにより、ファイバースコープとして機能できるようになるわけです。

まとめ

以上のように、光ファイバーは紡糸という製造方法から、芯部のコアをクラッドが覆う構造となり、それによって1端から入った光をもう1端へ出す特徴が見出されることを見てきました。医療用のファイバースコープに応用されている原理について理解を深めていただけたなら幸いです。

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