CT装置の消毒はどのようにするのがよいか?

診断用機器

医療の現場を支える様々な医療機器。患者さんが使うごとに医療機器も消毒しなければなりません。それらの医療機器の中にCT装置があります。このCT装置の消毒作業は、どのようにするべきか解説します。

CT装置とは

CT装置とは、X線を利用して身体の断面を撮影する機器です。人体の部分によってはX線の通過する度合は異なります。その異なる差をデータとして集積し、コンピュータで処理することで身体内部を画像化します。

CT装置には、ドーナツ状のガントリと呼ばれる部分があります。X線が360°回転して身体を撮影します。また、患者が仰向けになるクレードルと呼ばれる寝台部分があり、撮影時は寝台が動きガントリ内部に入ります。更に操作コンソールと言われるX線の情報を処理して画像化を行うための部分から成っています。

CT装置の消毒作業

CT装置は、常時全ての接触部分を清潔に保持する必要があります。この機器は高電圧を用いて、また緻密なコンピュータ及び電子回路を内蔵していますので、消毒時には安全面に注意して決められた手順で実施する必要があります。

CTの装置は、ガントリ・寝台(クレードル)・コンソールから成っています。この順に消毒作業の注意点を紹介します。

〇消毒及び清掃を行うときの注意
①機器の電源を切った状態で行う事。
②消毒・清掃の際に機器の内部に消毒剤及び洗浄剤が侵入しないよう注意する事。
③消毒・洗浄の終了後、室内を十分に換気してから装置の電源を入れる事。

◆ガントリ
〇カバーを拭くときに、マイクやコネクタなど、機器内に消毒剤が流入しないように留意する事。
〇ECGのケーブルなどのコネクタ部分も消毒剤が触れないように留意する事。
〇スプレーでの噴霧などせずに、消毒液を塗布した布なので払拭する事。
〇消毒用薬品を拭きとった後、乾いた布で拭くかよく表面を乾燥させる事。

◆寝台
※ガントリと同じ注意を払う
〇バンドなどの合成繊維及び合成革の部分に対する消毒はアルコールを使わない事。
〇アルコールで対応できないマットレス等は家庭用塩素系漂白剤の使用も可能とする場合もありますが、取扱説明書を確認する事。

◆コンソール
〇操作面やキーボードは消毒剤がキーや操作ボタンのすき間に入らないように、十分考慮して作業をする事。
〇プラスチック部分やティスプレイ画面などにアルコール使用は不可の部分の確認が必要。
〇電子機器部分であるコンポーネントにはドライクリーニングを使用する事。
〇電気部品に中性洗剤液や消毒薬品を直接噴霧しない事。

消毒・清掃の例の一つ

〇実際は、第4級アンモニウムを含有する塩化ベンザルコニウムなど消毒用ワイプなどを使い、ガントリや寝台を払拭することでウイルス量を減らし、一定間ごとに消毒用エタノールで消毒。

〇患者ごとに消毒用アルコールによる消毒を施行。

〇イソプロピルアルコール50~70%・エタノール60~90%
高濃度エタノールは樹脂部が変異する可能性があり機器メーカーに確認必要。

〇汚染された時の清掃として希釈中性洗剤による清掃
装置に使用する消毒液は、各メーカーによっても指定が異なることありますので、メーカーにお尋ねしたり、取扱説明書を読んだりして確認することが大切です。

まとめ

感染症防止の措置として、CT装置の消毒を紹介しました。患者さんの命を守る機器であり、また大変高額な機器でもあるので消毒作業は細心の注意を払って行いましょう。

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