MRIによる3次元画像の世界!

診断用機器

人間の臓器は複雑な構造をしています。その複雑さのため病変の場所を特定することが困難なケースも存在します。複雑な部位や臓器の中心部を立体化して見ることができたら、疾病の早期発見につながります。そんな要望に応える医療機器が、今回取り上げるMRIによる3次元画像です。

脳神経の3次元見える化

近年、MRI撮影技術の進歩とMRI撮影画像の3次元構築技術の発展は、複雑な脳神経などの3次元解剖の可視化を可能にしてきました。画像の3次元化は、脳の襞の凸部分に対して立体的な可視化を目的としたもので、脳幹部周囲の神経や血管の抽出などで試みられてきました。

また、コンピュータのハイスペック化によりレタリングが容易になり、解析ソフトウェアの改良も進み、画像解析の技術者でなくても高精度な3次元画像を容易に作成・操作・加工することが可能となりました。

その解像度は細かな脳神経や微小血管の抽出もでき、脳神経外科医にとっては顕微手術の術前評価法として使用しても申し分のないレベルです。医療機関では、MRI画像の各種3次元解析を行い、外科領域の画像診断や術前シミュレーションに取り組んでいます。

立体的な画像解析

「3次元化」、言い換えるなら「立体化」は、多くの医療従事者や医療機器メーカーにとって悲願だったと言ってもいいのではないでしょうか。なぜなら、人間の臓器の全ては立体であるからです。施術を施す者にとって、出来るだけ実際により近い像を見られる方が治療を行い易いことは言うまでもありません。

更に体内を撮影した画像を解析して、脳や各臓器、血管、腫瘍、神経、骨を立体的に映し出す技術が確立され、臓器の中で絡み合う動脈や静脈を識別して、立体的に可視化できます。

この技術のおかげで、手術前に腫瘍などを立体的に見ることができ、部位を摘出する切除領域まで判断することできるようになりました。執刀医は、切除領域を高精度な立体画像を用いてシミュレーションすることが可能です。

AIによる解析

AIによる画像解析では、アルゴリズムを人間が事前に設定しておくだけで、機械学習によりAIが前処理から最終的な解析までの工程を一貫して処理できるようになります。例えば、顔を認識させる際、目・鼻・口の位置や形状など特徴点となる部分が取り出せるように調整して、あとはパソコン側で背景や顔の判断をするわけです。

AIを使用した眼底画像の診断支援というものがあります。眼は、切開や開口部への器具の挿入などをせずに血管の構造が分かるため、眼科検診だけで診断が可能な疾病もあります。

しかし一方では、術者の作業負担が大きい、診断能力のばらつきがある、専門医の地域格差があるなどといった事情から治療介入が遅れたりすることも可能性としてはあります。

この様な問題に対して、画像データをAIに画像解析させることで、緑内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性の早期発見・治療をすることが可能です。

まとめ

心臓疾患、がん疾病、脳疾患などは、大掛かりな手術を必要とします。人体の状態がよりリアルに、立体的に病変部位が認識できる様になった現在、より早く適切に処置できる様になっています。今後、MRIの3次元画像の世界は更なる進化を遂げる事でしょう。

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