CT装置の重さについて

診断用機器

身体内部の断面図映像を描写することで、詳細な診断を可能とする医療用CT装置。その原理および構造から、装置全体の重さはかなりの重量となります。それはおおよそどのくらいの重さとなるのでしょうか。CT技術の原理や装置の基礎的構造を踏まえつつ見ていきたいと思います。

CT装置とは

CTは原理的に、レントゲン撮影と同じくX線を利用するものとなっています。レントゲン撮影の発展型と捉えても差し支えないでしょう。

X線は自然光と同じように電磁波の一種です。1pmから10nm程の波長範囲を取り、自然光より周波数が高い種類に相当します。

高い周波数を有する電磁波には、照射された物体を通り抜けるという特徴があります。それはX線にも備わっており、X線が物体に当たった際には、内部を構成する物質の違いによって透過のし易さに差が現れます。その差を写像の濃淡として表すことで骨格など人体内部の様子を知る方法が、レントゲン撮影というわけです。

CTにおいては、物体透過後のX線をデータとして検知する方法が取られます。データをコンピュータで処理し、それを基にグラフィック上に画像化することで、物体内部を視覚的に再現するわけです。これにより、レントゲン撮影より詳しく内部の状態が把握できることになります。

人体内部の様子を知るために用いられるCT装置は、ガントリ・クレードル・コンソールという3つの機器で構成されています。

クレードルは、その上部に被験者を横たわらせる寝台のことです。水平方向にスライドする機能を持ち、それによって被験者を円筒型の機器・ガントリの開口部へ送ります。

ガントリは、円筒部内側にX線照射用の管球およびX線をデータとしてキャッチする検出器を内蔵した、CT装置のメインともいえる部分です。管球と検出器は、中央の開口部を挟んで向かい合うように配置されています。

検査では、開口部に置かれた患者さんの身体へ管球によるX線照射と、検出器による身体透過後のX線捕捉が行われるわけです。

検査の際、管球と検出器は向かい合ったまま開口部を中心に高速回転します。これによって被験者の身体に360°方向からX線が当てられることになるわけです。加えて、クレードルのスライド機能により360°照射の位置替えも行われ、これによって被験者に対し3次元的にX線撮影を行う状況となります。

コンソールは、装置全体の操作およびコンピュータ処理によるグラフィック化を担う機器に相当します。ガントリにて実施された3次元的X線撮影のデータは検出器からコンソール部分に送られ、そこで体内の画像化が行われます。

コンソール部の処理によって、人体を横に輪切りにしたような断面図画像や、臓器や骨格等を立体的に再現した画像などが得られます。

医療用CT装置の重さ

ガントリ内部の管球は、検査に欠かせないX線の発生装置です。その重量は単体で約700kgに及びます。検査中、その重量物が最速0.2秒ものスピードで回転し、その際に発生する遠心力によって、ガントリには約50Gもの重力が加わります。CT装置はそういった使用に耐えられるよう設計されているわけです。

そういった条件を加味することにより、CT装置の総重量は2t超に及びます。そのため、CT装置を設置する検査室に関しては、建物の構造的にその重さを許容できる耐荷重性が求められることになります。

まとめ

以上のように、CT装置の原理的・構造的基本に触れながら、装置重量について確認してまいりました。全体的にt単位の重量物となるため、設置の際には建築物的な耐荷重性を考慮に入れ、安全に使用できる配置を検討する必要があると言えます。

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