耳鼻科で用いられるファイバースコープを紹介

診断用機器

ファイバースコープを使用する軟性内視鏡や硬性内視鏡、いわゆる「内視鏡検査」はさまざまな医療現場において利用されています。
耳鼻科においても例外ではなく、鼻腔からファイバーを挿入することで肉眼では観察することのできない病変の特定や処置をすることが可能です。
今回は耳鼻科におけるファイバースコープを用いた内視鏡について解説していきます。

○耳鼻科で用いられるファイバースコープの概要
耳鼻科で用いられるファイバースコープは基本的に軟性のファイバーを鼻腔から挿入して細く凹凸がある箇所を傷つけないよう観察するために非常に細い構造になっています。
先端にカメラと光源を備えており、モニターの映像や画像から観察をおこなったり、患者様への説明に用いられます。
一方で金属製の硬性ファイバーを用いる場合もあります。
病変の検体を採取したり、異物が鼻腔の奥まで入ってしまった際の除去、鼻茸の除去などで使用します。
片手でファイバーを操作して視界を確保しながら、もう一方の手で処置を行います。

○耳鼻科で用いられるファイバースコープの種類
耳鼻科で使用されるファイバースコープには喉頭・下咽頭ファイバーと鼻咽腔ファイバーがよく用いられます。

●喉頭・下咽頭ファイバー
舌根部から喉頭、咽頭(上咽頭・中咽頭・下咽頭)までの観察や処置で用いられます。
嗄声(声のかすれ)や喉の奥の異物感が感じられる際には喉頭・下咽頭ファイバーで声帯に炎症やポリープ、腫瘍、声帯の萎縮(高齢者にみられる)がないか観察します。
また、魚の骨が喉の奥に刺さって取れない場合でも喉頭・下咽頭ファイバーで観察・除去することが可能です。

●鼻咽腔ファイバー:鼻咽腔ファイバーでは鼻腔から喉頭、上咽頭までの比較的浅い部位の観察や処置で用いられます。
よく使用されるのが副鼻腔炎の観察です。風邪や花粉症などに伴う炎症の観察や診断で用いられます。
長期にわたって鼻づまりが改善しない場合には鼻腔の構造上の問題(鼻中隔弯曲症など)も疑い、レントゲンとの所見も併せて診断していきます。
アレルギーや喘息の既往がある人は「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれる鼻の粘膜にできるポリープがみられる場合があります。
鼻茸は腫瘍ではないため、がんのリスクが高まるといったことはなく、形成されても症状がなければ経過観察で済みます。
鼻茸によって気道が塞がれていたり、感染症が頻発する際には局所麻酔下でファイバースコープを用いて鼻茸の除去を行います。

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