腹部MRIによってわかる疾患とは?

診断用機器

MRI(Magnetic Resonanece Imaging:磁気共鳴画像診断装置)は非常に強い磁石と電波を利用して、人体のスライス画像を撮影してさまざまな病気の診断に活用することができる医療機器です。MRIは脳血管疾患や精神疾患などの脳に由来する病気を診断・検査する頭部MRI、乳がんの診断・検査に利用される胸部MRI、前立腺がんの診断・検査に利用される前立腺MRI、リウマチの早期発見に関する検査に用いられる手部のMRI、そしてさまざまな腹部内臓疾患の診断・検査に利用される「腹部MRI」があります。
腹部MRI検査の適応となる臓器は以下の通りです。

・肝臓
・胆嚢
・胆管
・膵臓
・脾臓
・腎臓
・膀胱
・副腎
・胃
・十二指腸
・リンパ節
・血管

腹部に位置するさまざまな臓器を撮影し、スライス画像として表示する事ができますが、どのような疾患を診断していくのかはさまざまです。今回は腹部MRIによって検査をすることができる疾患などの一例を紹介していきます。

○肝臓

肝臓では2000種類にも及ぶ化学反応によって毒物を分解したり、アルコールを代謝することによって生命活動を維持する重要な臓器です。その一方で肝臓は「沈黙の臓器」として、異常があっても症状が現れにくいとして知られています。MRI検査では悪性腫瘍である「肝臓がん」の診断や検査で用いられます。肝臓は血液が豊富な臓器であるため、水分の多い臓器を表出することにメリットのあるMRIは非常に有効な検査といえます。MRIに加えてCT、超音波検査、血液検査などを行い確定診断していきます。

○腎臓

腎臓疾患には腎細胞がん、糸球体腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、間質性腎炎などさまざまな病態があります。MRIは炎症や出血の所見も確認することができるためこれらの病態を発見、検査することができます。

○血管

腹部の血管疾患にて重篤な病態となるのは「腹部大動脈瘤」です。腹部大動脈は正常な太さが2cm程度であるため、3cm以上膨らんだ状態を腹部大動脈瘤といいます。動脈瘤が破裂した後に緊急オペを行った場合の成績はあまり良くないため、破裂する前に動脈瘤を発見し治療することがセオリーとなります。
腹部大動脈瘤は臍を中心とする腹部を触って発見されることがありますが、肥満体型の方では触診のみでの発見は困難となります。一般的には腹部エコーにて検査を行います。大動脈瘤の大きさを明確に把握するためにctやMRI検査にて確定診断や手術の見通しを立てていきます。

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