血圧計のマンシェット幅について

診断用機器

上腕で測定するタイプの血圧計は上腕にカフを巻きつけて測定を行います。このカフを「マンシェット」ともいいますが、このマンシェットの幅に種類があることをご存知でしょうか?

病院や施設に勤めている方は、スタッフで共用している血圧計を手にとって「あれ?なんかマンシェットの幅が細いな…まぁいいか。」という経験をした方もいるのではないでしょうか。実は小児用の血圧計(小児用のマンシェット)が交じっていたということですが、小児用の血圧計(小児用のマンシェット)でもマンシェットさえ巻けることができれば血圧自体は測定することが可能です。しかし、正しく測定はできないため、正確な血圧の数値を得ることはできません。正確な血圧を測定するきは使用するマンシェットの幅が被測定者に適しているかどうかが重要です。

○マンシェット幅が適していないとは?

マンシェットの幅が被測定者に適していなければ数値どのような傾向が現れるのでしょうか?
一般的にはマンシェットの幅が被測定者の腕に対して狭いと血圧は高い傾向に現れ、逆にマンシェット幅が広ければ血圧が低い傾向に現れます。

幅が狭いマンシェットは上腕の動脈を圧迫する面積が狭くなるため、動脈を止めるためには高い圧力を加える必要があります。そして圧を解放する際には幅の広いマンシェットに比べて早く血流が再開されるため、コルトコフ音が早く聞こえてしまい血圧の数値が高くなってしまうのです。

○JIS規格からみるマンシェット幅

JIS規格ではマンシェット幅について以下の規格を定めています。

・成人(上腕用):14cm
・成人(下肢用):18cm
・9歳~:12cm
・6~9歳未満:9cm
・3~6歳未満:7cm
・3カ月~3歳未満:5cm
・生後3カ月未満:3cm

シャント手術を受けられていたり、脳血管疾患による麻痺がある場合などにおいては腕で血圧を測定できない場合があります。その場合には大腿部にマンシェットを巻いて血圧を測定する方法もありますが、この場合には幅の広いマンシェットを使用する必要があります。
小児科や障害児施設では小児や児童の血圧を測定することがあるため、測定時にはマンシェットの幅を確認しておくと共に数種類のマンシェットを用意しておく必要があります。

マンシェット幅の確認も重要ですが、減圧時の速度は2mmHg/秒程度が適切であり、減圧のスピードが早すぎると血圧が低く測定されてしまう事もあるため注意しておきましょう。

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