血圧計の活用方法と歴史

診断用機器

【はじめに】
健康診断などで必ずと言っていいほど利用される血圧計。
血圧は、心臓や脳などの重要な臓器の病気を予防・発見する手がかりとされており、血圧計はとても身近な存在となりました。
また、病院だけではなく、家庭向けの血圧計もたくさんの種類が販売されています。
今回は、血圧計の活用法と歴史を紹介します。

【血圧計の活用法と歴史】

1.血圧計の使い方
電子血圧計で血圧を測る方法を確認します。
ゴムの袋の入ったカフ(腕帯、駆血帯)を血圧測定する人の上腕に巻き付けます
この時、カフの巻き方が緩かったり、心臓よりも低かったりすると、実際の血圧よりも高い数値が出てしまいます。
電子血圧計では、測定開始ボタンを押すと自動的に血圧の測定が開始されます。
上腕に巻いたカフが膨らみ、一時的に腕の血液の流れを止め、その後カフの空気を徐々に抜いていくと腕の血液が流れ始めます。
カフの空気が少しずつ抜けていく時、小さな脈動が大きな脈動になっていきます。そして、再び脈動は小さくなっていきます。
電子血圧計は、こうした脈動の変化を解析して血圧として表示します。

2.血圧測定で分かること
血圧測定は、主に動脈と心臓に関係する疾患を発症する危険度を評価する時に用いられます。これまでの研究では、血圧が高い人ほど脳卒中や心臓病を発症する確率が高いことが実証されています。
最近では、高性能な家庭用血圧計も販売されているので、健康管理のために血圧測定を毎日の習慣にしている人もいます。

3.血圧計の歴史
1905年、ロシアの軍医ニコライ・コロトコフが血管に対して加圧・減圧した時に生じる音を聞いて血圧を測定する方法を発見したことが、血圧測定の起原です。
最初に確立された測定方法は、「コロトコフ法」と呼ばれました。
この方法を使った血圧計では、水銀柱というメモリを利用して血圧を読み取っていました。血圧の数値に用いる「mmHg」という単位は、初期の血圧計に由来します。
しかし、水銀柱の血圧計では、意思が聴診器を当てながら水銀のメモリを確認する必要がありました。
1970年代に開発された電子血圧計では、コロトコフ音は聴診器の代わりに搭載されたマイクロフォンで検出され、水銀柱の代わりにマノメータというメーターが使われるようになりました。
その後、1980年代には加圧や排気を自動で行う機能や、周囲の雑音に左右されない「オシロメトリック法」が開発され、90年代には一人一人に合わせて加圧調整を行う機能が開発されました。
こうした技術の進歩により、今ではとても手軽に血圧測定ができるようになったのです。

【最後に】

今ではとても手軽にできる血圧測定ですが、もともとは医師が聴診器で音を聴きながらメモリを確認したり、加圧と減圧を手動で行う必要があったりと、人の手が欠かせない検査でした。
それが、度重なる改良によりほとんどの工程が機械化され、病院の待ち時間に簡単に血圧を測れるまでになりました。
日常生活では意識することの少ない医療機器ですが、見えないところで日々進歩しているのですね。

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