脳波計の電極装着法と脳波の誘導法

診断用機器

【はじめに】
脳波測定の原理は、脳内から放出される微弱の電気信号を頭皮上から電極を通して誘導し、増幅して測定するという仕組みになっています。
このとき大切なのが、「電極の装着方法」と「電極にどのように脳波を誘導するか」といったことです。
今回、この2点についてお伝えしたいと思います。

【電極の配置方法】

最もオーソドックスな電極の配置方法としては、10-20法というものがあります。

この方法の特徴としては「頭部の大きさに関係なく電極の装着ができること」などがあります。
以下、10-20法のメリットについてまとめてみました。

・各電極間の距離を等しくできる
・大脳部分の脳波をほぼ全部カバーできる
・電極に対応する大脳の解剖学的部位について解明が進んでいて測定しやすい
・同一部位に配置されているため繰り返しの検査がしやすい

【脳波の誘導法】

誘導法は導出法とも呼ばれ、目的に応じて3種類の方法があります。

・単極誘導
耳朶(耳たぶ)を基点として頭部の電極と耳朶の記録をします。
耳朶は電気的にゼロに近いため、この方法を用いれば脳電位の絶対値が記録できます。またこのとき、波形の歪みは少なくなります。
光刺激や過呼吸に対して使用されることが多い方法です。

・双極誘導
頭部の2点間の電位差から誘導し、記録する方法です。
この方法では電位の位相逆転が生じても対応可能ですが、波形が歪んだりすることがあります。また電極間の距離が正確でないと誤差が生まれることもあります。

・平均基準電極法
この方法を用いるときにはまず基準となる電極を定めます。そのとき、頭皮上にある多数の電極を一点に結んで基準点とします。
特徴としては、大きい電位の混入時に基準電極が活性化することが挙げられます。

【単極誘導と双極誘導の違い】

単極誘導と双極誘導の違いについて3点確認したいと思います。
まず、波形の歪みについてですが、単極誘導の場合には歪みが少ないのに対して、双極誘導は歪みが発生しやすくなります。
それから、単極誘導の場合、脳波測定と並行して行われることもある心電図のノイズが混入しやすい一方、双極誘導では混入しづらくなっています。

さらに、単極誘導では異常が発生した場合、全体的な影響が出るのに対し、双極誘導では局所的な異常にとどまります。

【まとめ】

今回お伝えしたように脳波測定で用いられる電極の装着や脳波の誘導は精密に行わないと正確な記録が取れません。そのためには確かな知識と経験を積む必要があります。

記事の内容を参考にして現場で活かしていきましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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