脳波計の標準感度とその調整

生体現象測定記録・監視用機器

脳にある神経細胞から発する電気信号を、微弱ながらも捉える事ができます。その信号を計測器で波形として表示する事ができるので、脳の活動状態から異常部位の特定や症状などを判定するのに役立てることができます。このような波形を捉える為には、感度が関係します。今回は、脳波計の標準感度とその調整についてご紹介しましょう。

脳波計の感度について

人間の脳から発せられる脳波は、0.5Hzから30Hz程の周波数から1秒間に繰り返す波の数を計測する為、単位は「ヘルツ」(Hz) が使われており、波形としては50μVくらいで記録されています。「マイクロボルト=μV」とは電位差を表す電圧の事です。

1マイクロボルトは何ボルトかというと

・ 1μV=0.000001Vであり
・ 1V=1000000μVとなります。
・ 50μV=0.00005V です。

脳波計で言う「感度」の場合は、脳波を記録する事で感知した振幅の大きさを電流の大きさによって示す事です。一般的には記録感度を表す言葉であり、ここで使用される記録感度は10μV/mmが標準となっており「標準感度」と示される事になります。

脳波計における基本要件

厚生労働大臣によって脳波計を使用する場合の基本要件が指定されており「最大感度」の性能については、2.5μV/mm以上の感度がなければならないとなっています。その上で、測定の際の感度誤差にも規定があり「±10%以内である事」が条件とされています。

この場合の設定において「最大感度」は、試験用方形波電圧回路が利用されており、電極に対して25μVの電圧を加える場合の記録を波形で示す事になります。

感度の変化の設定での注意

1.入力値が100μVの場合に振幅が10mmになるように設定する事。
2.入力値が100μVの時は感度を調節し、表示波形の振幅が約10mmになるようにします。試験用電圧回路を用いた場合に、試験電圧や直流電圧を正負の端子に切り替えた時、変化する振幅が5μVp-p以下である必要があります。必ず確認しましょう。

標準感度の記録方法

縦軸を電位として横軸に時間を示す場合の感度は、50マイクロボルトを5ミリメートルで示す事です。以下の方法によって記録された波形は、正弦波に近くなっており、左右がほぼ同じ場合に同期的と呼び、正常者の場合を表します。

10‐20法による電極19個を用意し、頭皮の上に左右対称にして設置して調べます。以下の方法が用いられます。

【1.単極誘導法】
頭皮上に置かれた電極と耳たぶの間に生ずる電位差を記録する事です。

【2.双極誘導法】
頭皮上の各電極間を対象に電位差を記録する事です。

【3.平均基準電極法】
すべての電極を結んだ場合に、最もゼロに近い電位変動に対して電極と各電極間の電位差を調べます。

まとめ

脳波計の記録感度は10μV/mmを標準にしており、標準感度に対する調整できるようにするには、10μV/mmの1/5倍や1/2倍、2倍、5倍のステップが必要になります。感度の調整だけではなく、脳波計を使用するには時定数や高域特性の始業点検などが必要になります。

ピックアップ記事

関連記事一覧