ファイバースコープの耐用年数について

診断用機器

ファイバースコープを含む医療機器には、少しわかりづらい複数の「耐用年数」があります。大きく分けて三つ、「税法上の耐用年数」「薬事法上の耐用年数」「実際の耐用年数」です。この三つの違いを大まかに説明し、今回は「税法上の耐用年数」に焦点を当てて説明していきたいと思います。

三つの耐用年数の違い

まず、「税法上の耐用年数」「薬事法上の耐用年数」「実際の耐用年数」それぞれを簡単に説明していきます。

税法上の耐用年数

ファイバースコープなどの医療機器は、減価償却資産と呼ばれ税金が課せられます。その税金を徴収する基準として定められたものが、「税法上の耐用年数」です。

薬事法上の耐用年数

医療機器の製造販売業者が決めた「耐用年数」のことです。この「耐用年数」は、日常点検・保守点検・予防保守が確実に実施されることを前提にして決められています。これは理想的な「耐用年数」で、実際の現場でこれらの保守点検が確実にできるかというと、「人材の確保・技術力の維持」などの難しさから、確実な実施は厳しいところもあるようです。

実際の耐用年数

実際のファイバースコープの「耐用年数」のことです。「保守管理の人材確保」や「技術力の維持」の状況の違いなどから、各現場によって「実際の耐用年数」は変わってくるでしょう。少なくとも「薬事法上の耐用年数」よりは、短くなることが一般的でしょう。

税法上の耐用年数(減価償却資産とは)

減価償却資産とは、事業用の資産のことで10万円以上のモノです。例えば、建物、車、機械、備品、建物付属設備、ソフトウェアなどです。

これらの資産は、普通長期間継続利用できるので会計上、耐用年数に応じた期間で経費処理することになっています。この時の経費処理を減価償却と言います。

ちなみに、ファイバースコープの税法上の耐用年数は6年とされています。要するに、ファイバースコープの購入時には経費処理せずに、一旦資産として計上します。経費処理については、減価償却費を計算して、減価償却費の分だけ経費処理をすると言うわけです。


「ファイバースコープ(耐用年数6年)を7月に30万円で購入。」
これだけでは経費処理できません。30万円のファイバースコープという資産を取得しただけです。12月までファイバースコープを事業として使用した場合、減価償却費分だけ経費として処理できます。

「購入価格(30万)÷耐用年数(6年)÷12か月(年間月数)×6か月(利用期間)」

これで概算が分かります。計算すると2万5000円です。これが経費として処理され税金から控除されます。

まとめ

ファイバースコープを購入する際、考えなければならないのは「薬事法上の耐用年数」や「実際の耐用年数」ももちろんのこと、「税法上の耐用年数」も大切になってきます。
なぜなら、「税法上の耐用年数」の6年を超えて使用する場合は、減価償却ができず経費として処理されないため税金の控除が行われません。また、6年も経過すると新たな機能を備えた医療機器が続々と開発されます。

このことから、税金対策だけでなく、より高度な医療を提供するためにも「税法上の耐用年数」は、より重要な意味をもってくると言えるでしょう。

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