知っていますか?ファイバースコープとCCDのちがい

診断用機器

医療の現場で耳にする機会の多い言葉に、ファイバースコープとCCDがあります。この二つ、同じものを指して使っている方も多いのではないでしょうか?今回は二つの違いと特徴について解説します。

ファイバースコープとCCDのちがい

”ファイバースコープ”とは、カメラを備えていない内視鏡装置の事を指す言葉です。それに対して、CCDとは、半導体素子(超小型カメラ)の事を指します。つまり、ファイバースコープとCCDは全く別の物であるという事になります。

ファイバースコープの特徴とは?

少し前の時代まで、ヒトの体内の様子を観察する方法はごく限られており、硬性および軟性胃鏡がほとんど唯一と言って良い手段でした。それらの胃鏡は、その先端部に備えた対物レンズで捉えた体内の様子を、接眼レンズをのぞき込むことによって医師が観察する事の出来る、画期的な道具でした。

その後、挿入管の先端に小型のスチールカメラと照明の豆ランプを備えた胃カメラが登場しました。ですがこれは被験者の身体から取り出した後、写真を現像して初めて患部の様子が判る為、医師が被験者の幹部の様子を知る為には時間がかかり、また被験者の負担も小さくありませんでした。

やがて、技術が革新されるに従って、挿入管の素材に光ファイバーを用いたファイバースコープが開発・普及を遂げました。光ファイバーはその高い屈折率から、先端部で捉えた像をそのまま体外の接眼部まで届けることができます。これにより、医師はより正確に被験者の患部の様子を観察できるようになりました。

光ファイバーは被験者の口又は鼻から体内へ挿入した後、医師の操作により自由に形状を変える事が可能です。またこれまでの内視鏡機器の素材より、本体を細くすることが出来るため、被験者の身体的負担は大きく減りました。

その後、先端部に半導体素子(超小型カメラ)即ち、CCDを備えたタイプも登場します。それまでのファイバースコープでは接眼レンズをのぞき込んでいる一人の医師しか、患部を観察することが出来ませんでした。

それがCCDの登場によりモニターへ映像をリアルタイムで映し出す事で、複数人の医療スタッフが情報を共有できるようになりました。また、映像を記録する事で被験者自身へ患部の状態を説明するのにも役立っています。

内視鏡についての補足

医師が自由に曲げる事の出来ない旧来の内視鏡と、医師が自由に曲げる事の出来る光ファイバーを区別する為、後者を軟性鏡と呼ぶことがあります。光ファイバー及びCCDを用いた軟性内視鏡の普及とともにファイバースコープも、軟性の挿入管に当たる光ファイバーを用いることから、軟性鏡という一つの括りで示されることが多くなっています。

しかし、医療従事者の中でもまだ、ファイバースコープと言う呼称を使っている人もいますので、混同してしまわないように注意が必要です。

まとめ

今回は医療現場で使われる二つの言葉、「ファイバースコープ」と「CCD」の二つの違いを踏まえながら、内視鏡がどのように高性能化していったのか、その変遷についてお伝えしました。

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