内視鏡(ファイバースコープ)の洗浄について

診断用機器

【はじめに】
内視鏡やファイバースコープは、細長い束や筒状の物を体内に入れ、中を観察できる装置です。内視鏡は管状の細長い機器にCCDと呼ばれる超小型撮像素子を内蔵したものです。ファイバースコープは何千本もの光ファイバーが束になっており一方にレンズ、もう一方に接眼レンズがあり体内を観察します。現在ではその意味でのファイヤースコープより内視鏡が多く使われていますが、この2つを同じ意味で使うこともあります。今回は内視鏡の洗浄について説明したいと思います。

【なぜ洗浄するのか】

内視鏡を洗浄せずに他の患者さんに用いると、付着した血液や体液などから感染症を引き起こす可能性があります。
そのため使い回しをせずに1回ごとに洗浄する必要があります。

【洗浄の流れ】

洗浄を行う人は外から持ち込む感染を防ぎ、また内視鏡の付着物からの感染を防ぐため手袋やガウン、マスクなどを着用します。

◎ベッドサイドでの洗浄
・患者さんから取り出した内視鏡をすぐに洗浄する作業です。
ガーゼなどで外側を拭き、内側も水で洗い、血液や体液などを取り除きます。それから漏水がないかテストをします。

◎流し台での洗浄
・流水や洗浄液を使います。ガーゼ、ブラシ、スポンジなどで表面の汚れを落とすように洗います。内視鏡の先端にあるレンズは専用の布を使います。ほかのボタン類や栓などの各部品も一度取り外して丁寧に洗います。
細かい内部は専用の洗浄ブラシを使い隅々まで洗浄を行います。

・酸素洗浄液(中性か弱アルカリ性の洗剤)に一定時間全体を漬けます。35~40度ほどの温度で行うとつまりや汚れが落ちやすくなります。それから小さい部位に洗い残しが無いように十分な水道水ですすぎます。

◎洗浄機の使用、消毒と保管
・洗浄機の消毒薬が基準を満たす濃度か確認して内視鏡を洗浄します。洗浄や消毒作業の質を一律化する意味で洗浄機は内視鏡専用のものの使用が望ましいです。
洗浄後アルコールフラッシュ(アルコール消毒)し、送気・吸引を行い乾燥させます。

・しっかり乾燥を行います(乾燥が不十分だと最近が発生増殖する可能性があります)。
ボタン類、栓を内視鏡から取り外して通気性の良い容器で保管をします。
その後、洗浄機も洗浄をし、新たに内視鏡を洗浄する際は洗浄済の洗浄機であるかの確認が必要です。

【まとめ】

内視鏡の洗浄には多くの手順があり、「ベッドサイドでの洗浄」「流し台での洗浄」「洗浄機での洗浄」を「1次洗浄」「2次洗浄」「3次洗浄」と呼ぶこともあります。患者さんや、それを扱う医療現場スタッフへの感染を防ぐために、内視鏡の洗浄は慎重に行われています。

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