CT装置の検出器とは?

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

アメリカの物理学者アラン・コーマックの理論をもとにイギリスの電子技術者ゴッドフリー・ハウンズフィールドによって開発されたCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置は、1970年代半ばから日本の医療現場にも導入され、長らく検査装置として重要な位置を占めてきました。
その歴史の半ばでは、MRIの登場により主役の座から一時的に外れたように見えることもあったCT装置ですが、現在ではマルチスライスCTなど新技術の登場により再びその勢力を盛り返してきています。
ところで、このマルチスライスCTの実用化には、CT装置の中でも「検出器」と呼ばれる部品の技術的進歩(多列化)が大きな役割を果たしています。
今回はこのCT装置の検出器について詳しく見ていくことにしましょう。

CT装置の仕組み

検出器は、CT装置のどの部分にあって、どのような役割を果たしているのでしょうか?
それを理解するために、まずはCT装置の仕組みを見ておきましょう。
CT装置は大きく分けて、寝台・コンソール・ガントリーという3つの部分から構成されています。
寝台は患者さんが横たわる部分、コンソールはコンピュータの部分です。
また、ガントリーとは寝台が入っていく大きなリング状の部分のことを言い、その中に取り付けられている部品の一つが、放射線(X線)を発生させる「管球」(X線管)になります。
そして、検出器は、ガントリー内部の管球と向かい合う位置に取り付けられており、管球から発せられ身体を透過したX線を読み取る役割を果たしているのです。

検出器の仕組み

このようにX線を読み取る役割を果たしている検出器ですが、現在のCTでは主にシンチレータおよびフォトダイオード(半導体素子)から構成されています。
シンチレータとは、放射線が当たるとそれに反応して光を放出(シンチレーション)する物質です。この部分に管球から発せられ身体を透過した放射線が照射されると可視光線(人間の目で見ることができる光)が発せられます。
次に、シンチレータから発せられた可視光線は、フォトダイオードで検出されデジタル信号に変換されることになります。
そして、このデジタル信号は、コンソールのコンピュータで処理され、医師や患者さんが目にするおなじみのCT画像へと加工されるわけです。

最後に

以上がCT装置における検出器の仕組みになります。
ところで、CT装置では放射線の一種であるX線を利用して撮影を行うため、被ばくを最小限に抑えることが非常に重要になってきます。
そのため、検出器には患者さんの身体を透過した後のX線を、ほぼすべての量について読み取ることのできるような性能、つまり効率性が求められることとなっています。

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