脳波計の入力インピーダンスについて~なぜ高いほうがいい?~

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

脳波計は、脳の活動の中でも、大脳皮質のニューロン(神経細胞)の電気的活動(シナプス後電位)を測定するための装置です。
この脳波計を使用した脳波の測定にあたっては、脳波計の入力インピーダンスが高ければ高いほど正確な測定ができると言われています。
これはどのような理由によるのでしょうか?
以下で見ていくことにしましょう。

入力インピーダンスはなぜ高いほうがいい?

電気的活動を測定するといっても、もっと具体的に見た場合、脳波計は何を測っているのでしょうか?
脳波計が測定しているのは、頭に取り付けた電極の1個と基準となる電極(他の電極や耳たぶに取り付けた電極など)の間の電位差(電圧)です。

先ほど、脳波計で測定しているのはニューロンの電気的活動であると述べましたが、実のところ、ニューロン1つあたりの活動は非常に微々たるものにすぎません。そのため脳波計が測定しているのは1個の電極あたり数百万個にも及ぶニューロンの電気的活動が集積されたものと考えられています。
それでも、その電位差は大変小さなものであるため、脳波計ではこれを増幅したものが脳波として記録されるのです。

といっても、脳波計が直接その電位差を測っているわけではありません。
この電極間で構成される回路を流れる電流の値から間接的に電位差の情報を得ることになります。
電流の値はオームの法則により、

電流=電圧(電位差)/抵抗

です。
ちなみに、インピーダンスとはこの抵抗のことを指しています。
この回路の抵抗(インピーダンス)は2つです。
電極と頭皮の接触面(接触インピーダンス)と、脳波計内の抵抗(入力インピーダンス)です。

例を挙げて考えてみましょう。
1Vの電位差を測定するとします。
人体のインピーダンスは約1000Ωとされていますので、この時点で電極間を流れる電流は0.001Aですね。
そして、このとき脳波計の入力インピーダンスも1000Ωであったとしましょう。
すると人体(R1)と脳波計(R2)の合成抵抗(R)は

R=R1×R2/R1+R2

ですので、500Ωとなります。
ここに0.001Aの電流が流れるわけですから、電位差は0.5Vと測定されることになります。
実際の電位差は1Vでしたから、0.5Vもの誤差が生じることとなってしまうのです。

しかし、ここで脳波計のインピーダンスが1MΩ(1000000Ω)であればどうなるでしょうか?
合成抵抗はおよそ999Ωとなり、0.001Aの電流が流れると、測定される電位差は0.999V、つまりおよそ1Vととなり、ほぼ実際の電位差と同じ数値が測定されることとなるのです。
これが、脳波計の入力インピーダンスは高ければ高いほど、正確な測定を行うことができる理由なのです。

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