一般的な血圧計は、医療機器クラス分類ではどこに属するのか?

生体現象測定記録・監視用機器

血液が血管を押す力を測る医療機器・血圧計。医療現場ではバイタルチェックを行う際に欠かせない機器の1つとなっています。そんなバイタルチェック用の血圧計に関して、医療機器のクラス分類ではどの種類に該当するのでしょうか。確認していきたいと思います。

血圧測定の役割

血液は、心臓が収縮・拡張を繰り返す拍動をなすことにより、その力で血流が生じることによって全身を循環します。心臓の拍動によって血液に加えられる力は、血液が流れる血管にも及びます。血管内壁にも心拍の力が加わり続けることになるわけです。血圧とは、この血管を内側から押す圧力のことを指します。

血管の状態を維持し血流に関連する疾病を予防するには、まずその血圧の強さを把握しておかねばなりません。そのために行われるのが血圧測定です。

血圧計によって、心臓が収縮し血液を押す時の血圧(最高血圧)と、心臓が拡張し慣性的に血流が生じている時の血圧(最低血圧)の双方を測定することで、血管に及ぼされる負荷の大きさを観測するわけです。

血圧の正常値は、医療現場で測る際の診療所血圧値と、日常生活の中で測る際の家庭血圧値によって異なる値で設定されています。

診療所血圧値における正常値は最高血圧で140mmHg、最低血圧で90mmHg。家庭血圧値における正常値は最高血圧で135mmHg、最低血圧で85mmHgとされています。

一般的に用いられている血圧計は非観血式と呼ばれるタイプです。これには、測定箇所をカフ等で加圧して一旦血流を塞き止め、その後加圧を徐々に緩めていった際の血流の戻り具合から最高と最低の両血圧を調べる仕組みが取られています。

非観血式血圧計は大きく分けて手動式と電子式の2種類が挙げられます。

手動式には、水銀柱を押す力から血圧値を判定する水銀式と、バネなどの機械構造的な力から血圧値を判定するアネロイド式の2通りが存在します。

いずれも、加圧が緩められていく際の血流音であるコロトコフ音を聞き分けて判別する方式です。

他方、電子式は、カフに内蔵されたセンサーによって、加圧が緩められている際に血管から発せられる振動(脈波)を検知することで血圧値が導き出される仕組みとなっています。

医療機器のクラス分類と、非観血式血圧計の該当クラスについて

血圧計をはじめ、医療現場で用いられる様々な器具および機器に関してクラス分類がなされています。これによって、使用対象となる患者さんに危険が及ぶリスクについてランク分けされているわけです。

クラス分類は4段階に区分けされています。
最も低いクラスⅠは一般医療機器に当たり、不具合があったとしても人体への危険性が極めて低いものが該当します。これに属するのは絆創膏・体温計・ピンセットなどです。

クラスⅡは管理医療機器とも呼ばれ、仮に不具合があった場合でも人体へのリスクは比較的経度と見做される部類となります。聴診器・低周波治療器・マッサージ器などといったものが一例に挙げられます。

クラスⅢとクラスⅣは共に高度管理医療機器に相当します。クラスⅢは人体へのリスクが比較的高いタイプ、クラスⅣは不具合発生時に生命の危機を及ぼす恐れのあるタイプです。クラスⅢには透析機器や放射線治療器など、クラスⅣにはペースメーカーや血管カテーテルなどが挙げられます。

一般的に使用される非観血式血圧計は、上記の分類においてクラスⅡに属します。手動式・電子式いずれにおいても同様です。クラスⅡを指す管理医療機器においては、その販売および貸与に関して届け出を必要とするなど、規定された手続きを踏まえることで取り扱われることとなります。

まとめ

以上のように、血圧に関してメカニズム・測定方法・機器の種類などの基本を踏まえながら、医療機器のクラス分類において一般的に使用される非観血式血圧計はクラスⅡに分類されることを確認してまいりました。

医療機器の安全性を確保すべく、クラス分類をはじめとする様々な規定が設けられていると言えるでしょう。

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