心臓カテーテル治療の一種「冠動脈ステント」とは?役割や種類を簡単に紹介

冠動脈ステントとは、狭くなった冠動脈を拡張・支えるための金属製の筒状の人工物です。
心臓カテーテル治療の一種であり、狭心症や心筋梗塞の治療または予防に使われます。
そこで、心臓カテーテル治療の一種「冠動脈ステント」について、役割や種類を簡単に紹介します。
冠動脈ステントとは
ステントとは、体内の管状部分を内側から広げるために留置する、金属またはプラスチック製の筒状器具です。
金属のチューブのような形状であり、バルーンで血管内を拡張した後、血管がまた狭くならないように支えるため留置されます。
動脈硬化巣の成分は誰でも同じではなく、同一場所でも物理的な固さが不均一なケースもあるため、バルーンでの拡張では血管の一部に亀裂が起こる解離が発生することもあります。
小さい解離は問題ないものの、大きな解離では血管を閉塞する急性冠閉塞が起こる恐れがあるため、防ぐためにステントが開発されました。
冠動脈ステントの役割
冠動脈ステントは、バルーンで大きな亀裂が生じたとき、血管の内側に入れて亀裂を支える方法です。
バルーンのみよりもステントを使ったほうが、トラブルが少ないことが証明されてきたため、爆発的に普及したとされています。
ステント表面に再狭窄予防の薬が塗布された薬剤溶出性ステントなども登場し、再狭窄は5%程度にまで抑えられているようです。
ステントの留置方法
ステントの留置方法は以下のとおりです。
①手首や脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入する
②狭窄部まで進める
③閉じた状態のステントをバルーンにかぶせて狭窄部へ送る
④狭窄部でバルーンを膨らませてステントを開く
⑤バルーンをしぼませてステントを留置する
冠動脈用ステントの種類
冠動脈用ステントは、チューブ型・コイル型・メッシュ型などの形状に分けられます。
直線的なものや屈曲に適したしなやかなタイプなど、種類は様々です。
主流の材質は、ステンレス・コバルト・プラチナなどであり、表面に再狭窄予防の薬が塗布された薬剤溶出性ステントもあります。
骨格の素材には、ステンレス鋼以外にも、タンタルやニッケルチタン合金が使われ、多くはバルーンで拡大して留置する仕組みです。
形状記憶のニッケルチタン合金製のステントは、しぼめた状態で留置し、体温で拡張する仕組みのものもあります。
ニッケル・チタン合金・銅・亜鉛・アルミニウム合金などは、形状記憶合金または知能材料と呼ばれています。
新たな機能性材料は、熱エネルギーを機械的エネルギーへと変える特性を生かした応用が取り入れられているようです。