麻酔器の耐用年数は?

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他の医療機器の例に漏れず、麻酔器にも耐用年数が設けられております。この耐用年数とはどのような意味合いを持つものであり、麻酔器ではそれが何年に相当するのでしょうか。麻酔器の基本的な装置概要を踏まえつつ、確認していきましょう。

耐用年数とは

耐用年数は会計上の概念であり、実際の機器の寿命を意味するものではありません。減価償却資産に当たる固定資産に適用される会計処理方法のことを指します。

減価償却とは、時間の経過で使用不可能となる資産について、その購入に充てた費用を、資産の種類別に予め定められた年数すなわち耐用年数で分割し、計上するという帳簿の付け方です。麻酔器などの医療機器も減価償却資産に該当するので、この会計処理が用いられることになるわけです。

耐用年数はその機器が何年間使用できるのかという指標ではあるのですが、あくまで会計的な解釈に基づくものであり、年数が切れれば直ちに使用禁止になるというものではありません。

耐用期間

医療機器の実質的な使用期間を表す指標としては、耐用年数ではなく、耐用期間を用います。これは薬事法上の規定の一つであり、標準的な使用状況かつ規定に準じた保守点検がなされる状態で、消耗品交換、修理、オーバーホールを行ってもこれ以上信頼性および安全性を保証できないと見做される期間を意味します。

耐用期間は機器メーカーの自己判断により設定されますが、基本的には耐用年数より長い期間が取られると考えて差し支えないでしょう。

麻酔器の耐用年数は?

麻酔器の耐用年数は、機器の寿命を意味する耐用期間より短い期間で規定されていることとなります。耐用期間は機種ごとに変わりますが、耐用年数を知ることで、麻酔器全般は最低でもその年数の間は問題なく使用できるという目安となるでしょう。

耐用年数は国税庁が公表している「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められているのですが、具体的な装置名ではなく、仕組みや用途で分類する形式で記載されています。
それでは、まず麻酔器の概要について確認し、それを基に耐用年数を求めていってみましょう。

麻酔器とは

麻酔器は手術など患者にダメージが伴う治療の際に用いられ、患者の感覚を失わせることで苦痛を回避する麻酔ガスの供給と患者の呼吸を管理する医療機器です。

主に、酸素や亜酸化窒素および空気を混合して麻酔ガスを作り出すガス供給部と、人工呼吸と共に麻酔ガスを患者に吸入させる呼吸回路部、患者の状態を常時測定するモニタリング機器から構成されます。

耐用年数の求め方

麻酔器の特徴を「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の分類と照合し、耐用年数を調べます。

「構造又は用途」の項目では「医療機器」に該当します。次の項目の「細目」で構造や用途による分類がなされるのですが、麻酔器は手術に用いられる機器であり、項目にも「手術機器」が挙げられていますので、これに該当することになります。

「手術機器」という条件で耐用年数は5年と定められているので、麻酔器の耐用年数は5年ということが言えるでしょう。

まとめ

以上の要点をまとめると、以下の通りです。
・耐用年数は、医療機器などの減価償却資産の額を年数で分割するために用いられる会計上の指標である。
・耐用期間は、医療機器の寿命を表し機種ごとに異なるが、基本的に耐用年数より長く設定される。
・耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」から求められ、麻酔器は5年となる。

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