脳波計の耐用年数について

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

脳波計と言えば、てんかんや意識障害などの検査を行うために、電極を頭皮に貼り付け、脳内(大脳皮質の神経細胞)の電気的活動を測定する装置です。
ところで、この脳波計の耐用年数はどれくらいかご存じでしょうか?
以下で見ていくことにしましょう。

脳波計の「耐用年数」とは?

まず、はじめに知っておかなければならないことは、耐用年数とは機器の寿命のことではないということです。
ですから「脳波計の耐用年数」と言っても「脳波計がどれくらい使えるか?」という意味ではありません。
では、脳波計の耐用年数とは何のことなのでしょうか?

脳波計のような医療機器は一度購入すると、基本的には何年にも渡って使用しますよね。
このように長期間(1年以上)使用するために保有する資産は、会計上または税法上「固定資産」と呼ばれます。
固定資産を購入すると、その購入費用は法律によって定められた期間に渡って配分し、その配分した額を各々の期に経費として計上(償却)していくことになっています。
この仕組みを「減価償却」と呼びます。
耐用年数とは、この減価償却という仕組みの基準とされている年数のことを指すのです。

これを踏まえたうえで脳波計の耐用年数を考えてみることにしましょう。
と言っても、国税庁の公表している「主な減価償却資産の耐用年数」の中に脳波計は載っていません。
ですので、どの年数に該当するかははっきりと断言できない部分はありますが、4年(レントゲンその他の電子装置を使用する機器で移動式)、6年(レントゲンその他の電子装置を使用する機器)、10年(主として金属製の医療機器)のいずれかになります。

例えば、480万円の脳波計を購入し耐用年数を6年と考える場合、この480万円を6年で割り、毎年80万円ずつを経費として計上していくことになります。
これが脳波計の「耐用年数」の意味です。

医療機器の特別償却

通常は、脳波計などの固定資産に該当する医療機器を購入したときは、上で説明した通りに減価償却を行って経費を計上していくことになりますが、「特別償却」という制度を使えば前倒しで減価償却、つまり損金として計上することができます。
ただし、この制度を利用しても、耐用年数全体では減価償却の総額は変わりません。
しかし、当期については大きな利益が予想されるものの、次期以降は利益の減少が予想される場合などは、特別償却の制度を利用すれば節税となる可能性があります。

最後に

先ほど、耐用年数は機器の寿命ではないと述べました。
では、脳波計の寿命は何をもとに判断するのでしょうか?
実は「耐用年数」とよく似た言葉に「耐用期間」と呼ばれる言葉があります。
よく似てはいますが、「耐用期間」は会計上の用語ではありません。
「耐用期間」とは簡単に言えば、「点検整備をしながら適切に使用しているとして、その機器を安全に使うことのできる期間」のことであり、脳波計(他の医療機器でも)の添付文書に記載されています。
脳波計がどれくらい使えるか、すなわち脳波計の機器寿命に関しては、この「耐用期間」をもとに判断することになっているのです。

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