人工呼吸器の使用時、低圧アラームが知らせていること

生体現象測定記録・監視用機器

生命を守るため様々な医療機器が存在し、人工呼吸器もその1つです。口元に装着するマスクなど、酸素を供給する器具を患者の呼吸器官に取り付けることで使用されます。今回、人工呼吸器における低圧アラームとは何か、患者の状態や機器の状況などを含めてご紹介します。

肺の呼吸運動について

人間の体は、体外から酸素を取り入れて生命維持活動ための力を生み出し、その結果細胞から排出される二酸化炭素を体外へ放出しています。その呼吸回数は成人で1分間に15~17回 で、新生児で1分間に40~50回とされています。

呼吸は肺の下部にある横隔膜が上下運動することにより生じます。肺が収まっている胸郭内の内圧が下がると空気が肺に入り、反対に胸郭内の内圧が上がると肺の中の空気が押し出される構造というわけです。

人工呼吸器の仕組み

病気あるいはその他容態との因果関係により、血液への酸素摂取が充分に行われない状態を意味する呼吸器不全。その状態に陥った方に人工呼吸器が使用されます。呼吸器不全には1型と2型があり、または血中に含まれる二酸化炭素量が適正であれば1型、規定を越えて過剰に含有される場合には2型に分類されます。

人工呼吸器には胸郭外圧陰圧式と気道内陽圧式の二つがあり、現在主流にあるのは気道内陽圧式です。これは、患者の口元に陽圧のガスを送り込み、この圧力により肺を膨らませる方法を意味します。

人工呼吸器の低圧アラーム

人工呼吸器には、異常を知らせるアラーム機能が備えられています。それには、器械自体の異常を通知するタイプや、患者の状態と設定したモードが適合していないことを示すタイプなど様々な種類があります。そのうちの1種である低圧アラームについて見ていきたいと思います。

〇低圧アラーム
気道内圧が設定した値に達していない場合に鳴るアラームです。作動する原因としては、主に次の2通りが考えられます。

1.機器自体のトラブル。呼吸器回路の外れ・接続部からの漏れ・気圧チューブおよびカフの破損などが要因として考えられます。

2.患者の自力による吸気が機器の設定値を超える場合。

〇対応処置
上記1、2のアラーム始動原因について、それぞれの対処法は以下の通りです。
 
1.回路の外れや接続部からのリークがあれば直ちに再接続します。破損個所がある場合には交換を行います。

2.患者さんの容態を確認した上で、適切な換気モードへの変更など、状況に応じた措置を取ります。

その他のアラーム

低圧以外のアラームとしては、主に以下のような類が備えられています。

〇低換気アラーム
設定時間内における換気量が、装置の設定値を満たしていない場合に作動します。

〇呼吸回数上限アラーム
呼吸回数が設定値より増加している状態を知らせる機能です。

〇無呼吸アラーム
自発呼吸が低下する、あるいは消失した場合に鳴ります。

〇高圧アラーム
気道内圧が設定範囲より高くなる場合に鳴ります。
 
〇電源アラーム
電源供給に関してトラブルが生じた場合に鳴ります。

〇ガス供給アラーム
人工呼吸器への酸素供給量あるいは圧縮空気が低下した際に鳴ります。

〇酸素濃度アラーム
呼気の酸素濃度が設定範囲外にあることを示す場合に鳴ります。

〇温度センサーアラーム
加温加湿器の温度に異常が現れた際に鳴ります。

〇水位異常アラーム
加温加湿器内意の水量不足を検知して鳴ります。

まとめ

人工呼吸器という人間の生命を守る機器について、特に低圧アラームが鳴るときとは何を知らせているのかなどについて書いてみました。使用中の安全を確保するためにも、主なアラームの意味を把握しておくことが重要です。

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