検査に必須の事前確認とMRIのできない人

診断用機器

MRIはCTと違いX線を使わないので、被曝することなく安全に体内を検査することができ、さらにCTでは診断し辛い発病したばかりの脳梗塞や、脳微小出血(マイクロブリーズ)を簡単に見つけることが可能です。しかし、強力な磁気を発生させるため特定の条件下では非常に危険であり、厳密な禁忌が設定されています。

MRIによる事故

冒頭に語ったようにMRIには強力な磁場が発生し、磁力の発生する物や金属類を吸引し、電子機器を故障させ、死亡事故に発展するケースも少なくありません。

絶対禁忌

手術により体内に電子機器や金属を埋め込んでいる方にMRIを使用することは非常に危険です。MRI対応の製品も存在しますが、以下に該当する被験者には徹底した確認を行い、不明な点や機器に適合性がない場合は、絶対にMRI検査を実施しないようにしましょう。

心臓ペースメーカー:誤作動や発熱による事故の危険性があります。近年では発熱しないリード線を採用したMRI対応の製品が登場しています。

20年以上前の脳動脈クリップ:最新の脳動脈クリップはチタンやコバルトクロム合金で作られているため、問題なくMRI検査を行うことができます。手術を行った時期で判別せず、問診や手術履歴を確認しましょう。

人工内耳インプラント:人工内耳プラントには磁石が入っていますので、基本的に検査を受けることはできません。最新の人工内耳インプラントは、MRI検査向けに磁石の取り外しができるものや磁石を装着したまま検査を受けられるものが登場しています。

神経刺激装置(深部脳刺激装置):MRIの磁場によって機器が発熱し、故障や身体組織の損傷の危険性があります。ただし、神経刺激システムの種類と使用部位によっては安全に検査できます。MRIの適合性は、脊髄刺激療法手帳や患者用プログラマを用いて確認できます。

可動型義眼:可動型義眼は医療器具として国から認可が下りていませんが、MRI検査において危険であり、必ず事前チェックを行いましょう。

相談が必要なケース

・体内金属がある方
・妊娠もしくはその可能性のある方
・刺青・タトゥー・アートメイク
・歯を矯正中・マグネット義歯を使用中の方
・カラーコンタクトレンズ
・かつら・ウィッグ・増毛スプレー
以上の方は検査前にチェックシートで、どのような手術や処理をされたか確認し、着脱可能なものは取り外してもらいましょう。

検査室の確認

注意すべき項目は被験者だけではなく、点滴台や酸素ボンベといった検査室に持ち込んだ物にも細心の注意が必要です。MRI事故の多くは、磁場により金属が高速で引き寄せられ、被験者が負傷するというケースです。

まとめ

MRIは初期の脳梗塞を後遺症なしで解決できる有効な検査ですが、事前の確認が非常に重要な医療機器です。普段の注意確認以外にも、0.5T以下の低出力のMRI機器から高出力機器に更新する場合は、看護師や清掃員といったMRIに関与するすべての職員に取扱いに関する再教育を行いましょう。

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