脳波計感度設定の重要性

生体現象測定記録・監視用機器

人の脳の状態を知る上で欠かす事が出来ない機器が脳波計です。脳波計は今では広く医療の現場で取り入れられています。

脳波の研究とその測定機器の発達は、今からおよそ100年近く前にドイツの医師ハンス・ベルガーによって脳に流れる微弱な電気信号が発見されたところにあります。今回の記事ではこの100年間で目覚ましく発展を遂げた脳波とその測定機器について、脳波が意味する役割を理解した上で、脳波計の感度設定の留意すべき事柄について説明して行きましょう。

脳波ってなんだろう?

人の脳には、微弱な電気信号が流れています。脳波とは、この電気信号を記録した波形の事です。脳波を測定する事で、その人の脳がどの様な状態にあるかを客観的に判別する事が出来ます。

脳が活発に働いている状態では、ベータ波と呼ばれるものが検出され、逆に脳がリラックスしている状態ではアルファ波と呼ばれるものが検出されます。脳が傾眠状態にはシータ波が検出されると言った様に検出される脳波の種類によって脳の状態を知る事が出来ます。この様な脳波を測定する機械の事を脳波計と呼びます。

脳波計の感度について

人の脳からは微弱な電気信号が発せられるとお伝えしましたが、この電気信号である脳波を測定する機器である脳波計には、感度を調節する機能がある事で、検査で知りたい範囲を測定できるようになるのです。

ここで言う感度とは、記録する電流の大きさの振れ幅の事です。
記録感度は10μV/mmが標準とされています。また、脳波の周波数で記録する場合の範囲を、通常は0.5Hzから30Hz程で記録されます。

厚生労働大臣によって指定されている脳波計の最大感度の条件となる設定が、感度を2.5μV/mm以上で備えている必要があることです。また、測定の際の感度誤差は±10%以内に収まっている必要があります。

感度を設定する上での留意点

脳波計の感度を変更する場合は5μV以下で行う様規定されています。更に注意点がありますので順番に説明します。

注意すべき条件1
100μVの入力に対して振幅が10mmになるようにする
100μVの入力に対して表示波形の振幅が約10mmになるように調整する必要があります。

注意すべき条件2
設定する感度に対しては試験用電圧回路を用い、電極接統器に試験電圧と直流電圧を正負の端子それぞれで振幅の変化が5μVp-p以下である事を確認する必要があります。

そのほかに
脳波計の記録感度は10μV/mmを標準とし最小感度は2.0μV/mm、最大感度は標準値の5倍の50μV/mm前後で測定するのが一般的です。

また、その際の感度は標準感度(10μV/mm)の1/5倍、1/2倍、2倍、5倍という刻みで調整できるようにしなければなりません。

更に、脳波計の調整は感度のほかにも時定数、高域特性の始業点検などによってされる事になりますが脳波計のJISによる性能試験項目に沿って点検する事が望ましいと推奨しています。

まとめ

今回は脳波を初めて電気現象として捉えてから、脳波計の感度に関する仕組みとその使用上の注意点について駆け足で解説しました。この記事を読む事で脳波と脳波計に対する理解がより深まれば幸いです。

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