人工臓器外科とは?治療方法や役割・人工心臓の需要を簡単に紹介

人工臓器外科とは、ケガや病気で機能が低下した臓器の代わり、人工的で作られた人工臓器を使い、患者の生活の質を向上させる外科分野です。
心臓・腎臓・肝臓などの臓器の機能を補助・代替するものであり、人工心臓や人工透析装置などを含みます。
そこで、人工臓器外科について、治療方法や役割、人工心臓の需要を簡単に紹介します。
人工臓器治療とは
人工臓器治療とは、肺・心臓・肝臓・腎臓などの内臓機能が損なわれたとき、病んだ臓器の代行を目的に開発された人工臓器を使った治療です。
ケガや病気で機能が低下した臓器に代わって、人工的に作られた装置を使い、機能を補助・代替します。
人工臓器には、人工心臓・人工腎臓・人工肺など様々な種類がありますが、主に臓器移植の代替や臓器機能を補助するために用います。
また、内臓機能を代行する装置以外にも、人工視覚・人工内耳・人工骨・人工皮膚なども人工臓器に該当します。
人工心臓の需要
人工心臓は、心臓移植の需要によってニーズが変わります。
実際、臓器移植の件数は、腎臓や肝臓などと比較すると少ないといえます。
その理由として、心臓のドナーは極端に少なく、仮にドナーが見つかっても移植後の拒絶反応発生の確率が8割を超えるからです。
心不全で苦しむ患者の数は増加傾向にあるのに、ドナー数は数十年間伸びていません。
そのため、移植用心臓の供給不足を解決させるために、以前から人工心臓の開発は注目されていました。
深刻な心不全になった心臓の機能を代行する全置換型人工心臓と、心不全になった心臓のそばに置いて心臓の循環機能を補助する補助人工心臓がその例です。
人工臓器の役割
人工臓器の役割は主に以下の3つです。
①臓器の機能不全に直面している患者(病気の終末期で臓器移植待機中の患者)の補助を行うこと(人工心臓や人工腎臓など)
②患者が医者や看護師に頼ることなく、病気の管理を本人ができるようにすること(糖尿病患者が、人工膵臓を通じて定期的にリアルタイムの血糖値を測定し、インスリン分泌量を適宜調整できるなど)
③クオリティ・オブ・ライフを向上させること(生活の質や生命の質を向上し、人生における満足度・幸福度・充実感を改善させる。人工内耳や人工視覚装置で日常生活における不便を解消し、人とのコミュニケーションを促し、患者の精神的健康を改善させるなど)