MRI検査の難敵、ゴースト/アーチファクト

診断用機器

患者に負担を掛けずに体内の様子を知る事が出来るMRI(Magnetic Resonance Imaging)は、様々な医療の現場で幅広く活躍しています。そんな便利なMRIですが、難敵がいます。ゴースト/アーチファクトです。今回はこのMRI検査の難敵、ゴースト/アーチファクトについて詳しく解説します。

ゴースト/アーチファクトの言葉の意味

ゴーストと言う言葉を知らない人は恐らくいませんね。日本語で言うと”幽霊”です。但しゴーストには、テレビ画面に映る”影の様な映像”と言う意味もあります。こちらの方がMRI検査で言うところのゴーストの意味により近いと言えます。

アーチファクトと言う言葉はゴーストと異なり、普段の生活の中で耳にする事はまずありません。この言葉は、ラテン語のartis(人工物)とfactum(作られた物)を組み合わせた造語です。MRI検査におけるゴースト/アーチファクトは、実際の組織の空間的分布とMRI画像上の構造物が一致しない現象を指します。

ゴースト/アーチファクトの正体

MRIの特徴はX線検査やCT検査と異なり、骨・ガス、その他空気と接する部位でのアーチファクトが少ない事が上げられます。しかしながら、MRIにも特有のアーチファクトがあり、これらを正しく認識しておかないと、誤診に繋がる事があるので注意が必要です。

MRI検査時の、アーチファクトの原因としては、呼吸・血流・拍動など被験者自身の生理的因子による物、装置からの物と、その両方による物があります。

アーチファクトの種類

この項では、良く見られるゴースト/アーチファクトを二種類取り上げて解説します。

折り返しアーチファクト

最も多く見られるゴースト/アーチファクトが、折り返しアーチファクトと呼ばれるものです。この「折り返しアーチファクト」は、撮像の端に撮影した患者の部位が重なって見える現象です。原因のほとんどは人為的な装置の操作ミスによる物だと言われています。

エヌハーフゴーストアーチファクト

その他のゴースト/アーチフェクトとして良く見られるのは、EPI(エコープラナーイメージング)で生じる事のある「エヌハーフゴーストアーチファクト」と呼ばれる物です。

頭部のMRI検査で比較的多く見られます。EPIは、傾斜磁場を高速反転させて患者の体内の様子を撮像するのですが、データを充填する際に位相のまちがいが起こると、このゴースト/アーチファクトが発生します。

MRIで撮像した画像にうっすらともう一つ頭部が重なる現象ですが、この現象は撮像したデータの半分でのみ表れる為、エヌハーフゴーストアーチファクトと呼ばれています。原因としては、渦電流・不完全な傾斜磁場・磁場の不均一性・エコーのタイミング不一致などが考えられます。

まとめ

今回はMRI検査の難敵であるゴースト/アーチファクトについて解説しました。本稿の中で述べてきたように、ゴースト/アーチファクトには様々な種類と原因があります。ゴースト/アーチファクトの正体を見極め、患者さんの状態を正しく把握する様にしましょう。

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