レーザーで切断する ~レーザーメスの構造とは~

治療用機器

最近ではレーザー脱毛やレーザーによるシミ落としなどで、美容整形にも幅広く使われるようになった「レーザー」ですが、医療の現場でのレーザーといえば「レーザーメス」による外科的手術が代表的といえるでしょう。そのような「レーザーメス」の構造はどのようになっているのか、こちらで解説していきます。

レーザーメスとは

レーザーメスは、レーザー光の熱エネルギーを用いて外科的手術や体内部器官の腫瘍の焼灼・蒸発をおこなう装置です。電気メスと違い、体に高周波電流を流さないという特長を持ち、電気メスと同様、止血効果(血液の凝固)もあります。

種類は、他のレーザーメスに比べ小型化が可能になった半導体レーザーと、青色や緑色の光で水に吸収されにくく血液の色に吸収されやすいという特長を持つアルゴンイオンレーザー、炭酸ガスレーザーなどがあります。

レーザーメスによる処置

レーザーメスは、レーザー光を照射して処置をおこなうものです。切開と蒸散には吸収の大きいレーザー光を照射し、組織温度を100℃以上に上昇させます。凝固(止血)には透過性が大きく、吸収の小さいレーザー光を照射して組織温度を数十度でおこなっています。

レーザーメスの構造

レーザーとは、英語のlight amplification of stimulated emission of radiation の頭文字を繋ぎ合わせたLASERが語源となっています。それぞれを日本語に意味を置き換えると、「光増幅」「誘導放出」「放射」となります。

その中でも、構造に大きく関係してくるのが「誘導放出」で、ある特定の物質に刺激(光)を与えると、光を放出する現象がおこります。これを専門用語で「誘導放出」といい、レーザーが発光する構造となります。

合わせ鏡で光を増やし、さらなる誘導放電を生み出します。この誘導放出によって生まれた光を向かい合わせに配置した鏡の中で繰り返し反射させることで、さらなる誘導放出を誘発させ、光のエネルギー密度を高めて放射します。これが、レーザー光を発生させる構造の基本原理となります。

構造上、レーザーメスの装置の制御部は操作部からの信号を受け、照射モード、照射出力、照射時間を設定し、レーザー発振器などを制御します。操作・表示部が照射可の状態で、フットスイッチが踏まれると、レーザー光が照射される構造となっています。

小型化されたレーザーメスの構造は、単純にレーザーがペン先から出ている構造ではなく、出力を調整する必要があります。出力を調整することで照射部位や目的に合わせた使用方法が選べ、製品によっては小型化されたレーザーメスもあり、出力の調整はツマミで設定できる構造となっています。

まとめ

熱エネルギーを利用した医療用メスには、従来「電気メス」が使用されています。しかし、電気メスは高周波電流による周辺組織の温度上昇などを考えるとデリケートな部位での使用に関しては、レーザーメスを使うことが好まれることも多いものです。その構造を知ることで、より安全な手術にのぞめるでしょう。

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