X線を使う「CT検査」と使わない「MRI検査」の違いについて

診断用機器

CT検査とMRI検査は、どちらも身体を傷つけずに体内の画像を撮影する事ができるものです。この両者の違いは一体どこにあるのでしょうか。そして、CT検査とMRI検査、それぞれの得意分野とは一体どういうものなのでしょうか。ここでは「CT」と「MRI」の仕組みを説明し、それぞれのメリット・デメリットを書いていきたいと思います。

「CT」の仕組み

「CT」とはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略で、X線を使用して輪切りの画像を撮影する検査装置です。

CTの検査装置はベッドとドーナツ状の機器(ガントリー)から構成され、ベッドに寝た患者様がドーナツ状の機器の輪の中に入り、撮影が行われます。ドーナツ状の機器(ガントリー)の内部にはX線の発生器と反対側に検出器が入っており、それらが回転しながら撮影を行います。

「CT」のガントリー内部にはX線管が備わっており、そこからX線が照射されます。X線は体内を通過し、反対側の検出器に入ります。

撮影された画像は、以前はフィルムに焼き付けただけだったので蛍光灯の光にかざして見ていました。しかし、現在では連続して撮影したデータをモニターで動画のように見ることができます。

「MRI」の仕組み

「MRI」とはMagnetic Resonance Imaging(核磁気共鳴画像法)の略で、X線は使用せずに、強力な磁石と電磁波を使用して体内の状態を断画像として映し出す検査装置です。

MRIの検査装置はCT同様、ベッドとドーナツ状の機器から構成されますが、ドーナツ状の機器にはX線管のようなものはなく、トンネル自体が大きな磁石になっています。

ベッドに寝た患者様は大きな磁場(静磁場)の中に置かれます。そこに特定の電波を当てると、体内の水素原子が同じ方向を向きます。(磁気共鳴・励起)

特定の電波を当てるのを止めると、水素原子は元の方向に向きなおろうとします。(緩和)
各組織(水、脂肪、骨、癌など)の緩和時間には差があり、その時間差を濃淡で表したのがMRI画像です。

「CT」のメリット・デメリット

・「CT」は空間分解能(どれだけ小さな空間を捉えられるか)に優れており、細かな部分まで見ることができます。
・検査時間が短くすみます。
・X線は放射線なので僅かですが被ばくします。

「MRI」のメリット・デメリット

・「MRI」は濃度分解能(画像の濃淡がハッキリ出る)に優れており、病変がハッキリと映し出される。
・造影剤を使わずに撮影できる。
・検査時間が長い。
・心臓ペースメーカーが入っていると撮影できない。

まとめ

「CT」はX線を使用して撮影します。そのため「CT」では僅かですが被ばくがあります。
一方、「MRI」では磁力を使います。そのため体内に金属性のものがあると撮影することができません。

「CT」も「MRI」も身体を傷つけずに体内を撮影することができますが、どちらが優れているというものではなく、検査対象によって使い分けています。その違いを正しく理解し、どちらが適しているのか、理解していくのが重要なことだといえるでしょう。

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