レーザーメスと電気メスの手術から見る比較

生体現象測定記録・監視用機器

レーザーメスが医療用に使われるようになってからは、電気メスに変わってレーザー光線の熱エネルギーを利用して、外科手術に使用されるようになりました。切開や切除、焼灼の効果を利用して、幅広い医療分野で活躍しています。レーザーメスと電気メスの比較を紹介します。

レーザーメスと電気メスの比較

操作性や安全性は勿論ですが、組織侵襲 (生体を傷つける事)の程度から比べてみましょう。レーザーメスには、以下の3種類を用います。※「腹腔鏡下手術によるレーザーメスから参照」

接触型メス

高周波電気メスやNd-YAGレーザーや半導体レーザーや超音波メスがあります。

非接触型メス

炭酸ガスレーザーやHo-YAGレーザーやアルゴンガス伝導電気凝固装置があります。

【1. CO₂レーザーメス】
波長は遠赤外の10600nmなので、目で見えない非可視領域となっています。指示光(レーザーポインター)はヘリウムイオンレーザーが使用されます。レーザーメスの特徴として水への吸収が高くなります。

生体へ照射する事で、50~100μm(マイクロメートル=0.001 ミリメートル、1000 ナノメートル に等しい)の深さで吸収されますので、深い部分へは軽微となります。金属のメスをCold knifeコールドナイフと呼ぶ事に対して、レーザーメスはホットナイフとも呼ばれています。

【2. Nd-YAGレーザーメス】
ネオンジウム・イットリウム・アルミニウム・ガーネットの頭文字を意味します。発振する波長は、1064nm(ナノメートル=10億分の1メートル)なので近赤外域にあるので、光ファイバーを伝達する特徴から、内視鏡手術に使用されます。水への吸収率が低い為に、組織部分に深く達しながらエネルギーを減少させます。

手術の切開や切離においては他と比べて劣ります。しかし、凝固や止血に優れている為に、臓器の切断に利用されます。非接触型レーザーメスの場合は、CO₂レーザーメスよりも組織の深い部分に達する事で、Nd-YAGレーザーメスがより少ない組織への侵襲で済む事がわかります。

【3. KTP(ポタシウム・チタニール・フォスフェイト)レーザーメス】
Nd-YAGレーザーメスに比べて、2倍の高周波で532nmの長さです。緑色の可視光で、照射部分の状況が肉眼で見る事が出来るので、他のレーザーのように指示光を必要としません。水の透過は、減衰しないで組織の中で効率的に散らして吸収を行います。高い止血効果を行います。

照射部の距離によって作用を調節できる特徴があり、直接体に照射すると接触性にする事で切開に使用でき、近距離で使用すると蒸散作用が可能で、さらに離す事で凝固作用が可能になります。

組織侵襲においては、Nd-YAG>KTP>CO₂レーザーの順にレーザーが生体組織で減衰する深度の大きさです。

【4. 電気メスの場合】
高周波の電流(500KHz~5KHz)を生体組織に流した時の熱作用で、切開や凝固を行っています。電流を連続する場合は、切開に使用して、断続的にすれば、凝固に利用できます。接触部分の部分では熱の為に変性や壊死が起こるので、電極の形状と電流の強さで調整できるので組織の傷害を小さく出来るのです。

まとめ

レーザーメスのそれぞれの特徴を比較してみました。妊 孕性(にんようせい)は、手術後の影響で妊娠への影響を考える事ですが、術後の回復や癒着についてレーザーメスの癒着が100%なので、術後の剥離は重要な処置なのです。

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