人工呼吸器の適応と装着する基準

治療用機器

人工呼吸器は、呼吸障害・不全(自発呼吸では酸素を十分に取り込めない、換気が不足する)に対して、呼吸の補助や代行をする機器です。こちらでは、人工呼吸器の適応と装着する基準をみていきましょう。

人工呼吸器の適応とは?

呼吸の目的は、体内に酸素を取り組むと同時に、代謝物である二酸化炭素を排出することです。その目的に沿って、人工呼吸器は使用されることになります。

生理学的な目的

〇肺のガス交換 〇肺容量の増加 〇呼吸仕事量の軽減

臨床的な目的

〇低酸素血症の改善 〇急性呼吸性アシドーシスの改善 〇呼吸困難の軽減 〇無気肺の予防や改善 〇呼吸筋疲労の改善 〇鎮静や神経筋遮断のため 〇全身または心筋の酸素消費量減少 〇ICP(頭蓋内圧)の減少 〇胸壁の安定

心機能の異常(心不全など)が認められれば心臓の治療、酸素化の異常(PaO2の低下)があれば酸素療法をおこないますが、そのような処置をしたにも関わらず効果が得られない場合に人工呼吸器を検討していきます。

人工呼吸の方法は、マスクを使用して陽圧をかけるNPPV(非侵襲的陽圧換気)、気管挿管下人工呼吸器などがあります。

気管挿管下人工呼吸器の適応

人工呼吸の導入は患者や患者家族の意向をふまえて最終的に決定をしますが、気管挿管下人工呼吸の適応は以下にあげられます。

1.呼吸不全(低酸素血症及・高二酸化炭素による)
2.気道防御機能の破綻(舌根沈下・咳嗽反射消失)
3.NPPVで改善しない呼吸不全

加えて臨床所見から

1.呼吸補助筋使用による呼吸
2.ひとつの文をすべて話しきることができない状態
3.早く浅い呼吸
4.十分な酸素化に関わらず低酸素血症が進行
5.意識障害

以上の8つの場合に気管挿管を考慮するといわれています。

人工呼吸器開始基準

人工呼吸器の開始基準としては、以下のようになります。

低換気

〇PaCO2≧60Torr(COPDなど慢性呼吸不全では20Torr以上の上昇)

酸素化能の障害

〇PaO2≦60Torr(100%酸素10L/分以上の酸素吸入下)
〇SpO2≦90%(100%酸素10L/分以上の酸素吸入下)

理学的所見などの異常

〇呼吸回数≧35回/分
〇呼吸様式の異常(陥没呼吸、鼻翼呼吸、下顎呼吸)
〇高度の呼吸困難
〇意識レベルの低下

まとめ

人工呼吸を開始する基準となるのは呼吸不全があるかどうかがポイントです。急性な経過で起こる呼吸不全を「急性呼吸不全」といいますが、明確な定義はありません。急性呼吸不全では病態が急速に変化するため、迅速に対応できる知識を得ておく必要があります。

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