レーザーメスのメリットとレーザー医学への挑戦

治療用機器

レーザーメスは、医療用のレーザー光線を用いて熱を発生させて切開し凝固を行います。金属製のメスと違って、切開と同時に凝固止血を行えるメリットがあります。内視鏡の手術では、なくてはならない医療機器です。

レーザーメスの特徴

電気メスと比べて出血が少なく、切った部分の治りが非常に早いのが特徴でもあるレーザーメスは、電気メスと違い体に高周波電流を流さないという特徴をもち、電気メスと同様、止血効果(血液の凝固)もあります。

レーザーメスは精密切開、広範囲の止血、高速切開、蒸散が可能で手術中の出血は少なく、手術後の痛みや腫れも少ないという特徴があります。

痛みが少ない理由について① ~炭酸ガスレーザー~

レーザーメスの種類で炭酸ガスレーザーがありますが、こちらのレーザーを参考に痛みが少ない理由について述べたいと思います。電気メスと比較すると、施術の深達度を三分の一以下に抑える事が可能です。

それに加え、炭酸ガスレーザーは遠赤外線の効果により、細胞を活性化させる事により傷を早く治すことができます。つまり、痛みが続く時間を短縮させる事が可能です。ホクロ治療のイメージが強い炭酸ガスレーザーですが、治療症例は一般外科では、子宮頚部がんの円錐切除術に使われ、喉頭がんの治療では気管支鏡視下で声帯の癌を蒸散除去、実質臓器の止血、凝固、蒸散を行っています。

痛みが少ない理由について② ~YAGレーザー~

YAGレーザーは歯科医療で多く用いられているレーザーメスです。水を含んだ生体組織に対して蒸散能力が高く表層にのみ反応が起こります。そして熱の発生が非常に小さいため、痛みが少ないというわけです。

蒸散の反応が照射部の表層に限定されて行われるので、透過光による組織深部への影響は少なくて済みます。治療症例は、関節鏡視下の半月板切除術や椎間板ヘルニア治療で髄核を蒸散除去して、内圧を減退させる椎間板減圧術に使用されています。

レーザー医学の挑戦

レーザー医学というのは人の診察と治療だけではなく、老化防止、リハビリテーション、健康維持、疾病予防に役立つものです。日本の三大死因は第一位が悪性新生物(癌)、第二位は心疾患、第三位は脳血管疾患です。これら疾病の克服のためにレーザー医学は重要な課題であると言えます。

癌の治療法としては、レーザー光の高エネルギーを活用して癌を気化・蒸散・凝固して破壊する方法と、レーザー光の低エネルギーを活用し光化学療法を行う方法があります。

心臓病の治療としては、1つ目に血管内レーザー内視鏡による心臓弁手術、2つ目にレーザー光穿通によって心筋内血管再生、3つ目にレーザー光による狭窄冠動脈の開存、4つ目にレーザー光による洞房結節、刺激伝導路への刺激などがあげられます。

脳卒中の治療法としては、1つ目に脳内出血部位の止血および修復、2つ目にレーザー光刺激による壊死巣の吸収さらに拡大の防止、3つ目に脳内血管の動脈瘤治療(経血管)、4つ目に四肢麻痺筋のレーザー刺激によるリハビリテーションなどが挙げられます。

まとめ

レーザーメスのメリットとレーザー医学の挑戦について述べました。未来のレーザー医学は現在までに医療レーザー技術としてたくさん開発され、その一部は臨床にも応用されつつあります。

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