血管ステントとは?仕組みや種類・ステントグラフト内挿術について解説

血管ステントとは、狭くなった血管を拡張して血液の流れを改善する金属製の筒状の網目状の器具です。
高齢化が進む日本では、医療分野においても体に負担の少ない治療が求められているといえますが、大動脈瘤に対する手術治療でも新たな治療方法としてステントグラフト内挿術が広まっています。
そこで、血管ステントとは何か、仕組みや種類、ステントグラフト内挿術について解説します。
ステントの仕組み
ステントは、体内の管状部分を内側から広げるための医療器具です。
網目状の筒形状で、体に害のない金属でできています。
たとえば、狭心症や心筋梗塞の治療で使用する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では、冠動脈の狭くなった部分を押し広げるためカテーテルを使用します。
このとき、カテーテル(医療用の細いチューブ)の先端に小さなバルーンを取り付けた、さらにバルーンにステントを取り付けておきます。
バルーンを膨らませると、ステントが血管の内側から押さえて固定されるため、血管が再び詰まる再狭窄のリスクを低減できます。
ステントの選び方
ステントにも種類があり、近年では表面に特殊な薬を塗り、再狭窄をより確実に防ぐことのできる薬剤溶解ステント(DES)なども多く使用されています。
しかし、薬剤溶解ステント(DES)は血栓を作りやすいなどの問題があるなど、通常のステントとは一長一短があるため、病態により適切な選択が必要です。
ステントグラフト内挿術とは
ステントグラフトは、化学繊維でできた人工血管に、網目状の金属製のバネ(ステント)を取り付けた器具です。
そのため、ステントグラフト内挿術では、ステントで大動脈瘤が起こった血管を内側から補強します。
ステントグラフト内挿術の入院期間は、患者の状態等によるものの14~28日間です。
脚の付け根を小さく切り開き、ステンドグラフトの入ったカテーテルを差し込みます。
患部にカテーテルが到達後、ステントグラフトを広げれば、血圧とバネの力で血管内側にステンドグラフが固定されます。
瘤に血液が流れ込むことを防げるため、瘤は今以上に悪化せず、縮小していきます。
人工血管置換術よりも傷が小さく、患者の身体負担を抑えられることがメリットである反面、適応できる状況は限られます。
また、再発の可能性もゼロといえないため、病態や状態によって、人工血管置換術を選んだほうがよいケースもあると理解しておきましょう。