脳波計のサンプリングと間隔の仕組み

生体現象測定記録・監視用機器

医療現場で使用されている脳波計ですが、使用すればするほど膨大なデータとして蓄積されていきます。これを記録として残しておくために、サンプリング=標本化することになります。では、そのサンプリングとはどのような仕組みなのか?その間隔によって何が異なってくるのか?見ていきましょう。

アナログとデジタルの脳波計

現在、国内の医療現場で使用されている脳波計に関して、デジタル化が進んでいます。それによって技術的には、脳の出すアナログ信号をデジタルデータとして変換した後に、波形=脳波として画面上に映し出す医療機器です。

検査において、脳波を得るため幾つかの導出法が用いられます。その導出の組み合わせパターンは無数であり、従来のアナログ脳波計では全ての導出パターンの組み合わせに対応することができませんでした。有効と思しき導出の組み合わせをあらかじめ選別し、そこに絞って検査を行うしかなかったわけです。

しかし、デジタル脳波計の登場により、導出の組み合わせすなわちモンタージュを検査中もしくは検査後に行えるようになりました。モンタージュを自在に変更できるリモンタージュにより、導出法による全ての組み合わせに対応できるようになったわけです。

これにより、波形から脳機能の状態(正常か異常か)を判断する精度がより向上しました。

サンプリングとは

デジタル脳波計によるリモンタージュは、検出されるデータをデジタル的に扱うことで可能となります。その上で重要な役割を果たすのが、サンプリングという機能です。

アナログの波形をデジタルデータとして変換するための処理を「サンプリング=標本化」といいます。デジタル脳波計では、波形としてみるために捉えたデータの周波数の上下限を設定しなければなりません。

元の信号にどれくらい近い形でデータを残すのかという設定が、サンプリングの意味するところです。

周波数の影響

脳波とは、脳に生じる電気反応を電位差として検知し、その時間的変化をグラフ上に表したものです。グラフの縦成分が電位差、横成分が時間となり、その座標上において脳波は振幅を持つ波形として表されます。波形を判別する際、1秒間に波の振幅が幾つ生じているかを示す周波数(単位:Hz)という指標が重要となります。

その場合、データに関する最小値を設定しなければなりません。脳波の周波数に関しては、データ読み取りの時間的間隔を設定することが、最小値の設定を意味することになります。その時間的間隔の最小値に相当するのが、サンプリング周波数です。1秒間のうち等間隔で何回データを読み取るかという指標を意味します。

幾つかの種類について述べると、それらの周波数は、0.5~50Hzの領域を取ります。それにより、脳波検査で扱われる脳波は、1秒間に0.5~50回振幅する波とされるわけです。その振幅状態を的確に記録するには、脳波に対してサンプリングの周波数を充分高くすることが求められます。言い換えれば、1秒間のデータ読み取り回数を、脳波の1秒間最高振幅回数である50回より充分多く取ることが求められるわけです。

上記の条件を満たし、高い精度で波形を表示するポイントとしては、計測対象となる信号波形の周波数の10倍以上のサンプリング周波数を選定することが挙げられます。すなわち、脳波内で周波数が高い50Hz付近を表すには、サンプリング周波数が500Hz以上、つまり1秒間に500回以上データ読み取りを行う設定とすることが必要となるわけです。

サンプリング周波数が脳波の最大周波数の2倍以上10倍未満の場合は、波の高低を充分に表せず粗い波形となってしまいます。また、2倍未満の場合では、適切に波の振幅を読み取れずエイリアシングが生じ、実際の波形とは異なった波形が表示されてしまいます。

まとめ

脳波計のサンプリングと間隔についてご紹介しました。適切な条件や周期などを設定することにより正確な波形を表し、データを残していくことが重要です。

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