MRI検査の禁忌、ステンレスの発熱と磁力吸引や機器の故障

診断用機器

MRI検査は高密度なコイル回転により強力な磁場を発生させ検査を行います。そのためステンレス使用では、不可になることやニッケルなど金属を身に着けた状態での検査は禁止されています。しかし金属によっては付属のまま検査を受けられるケースもあります。検査の可・不可にはどのような違いがあるのでしょうか?

持ち込み禁止物

製品によって細かく条件が分けられていますが、基本的に磁気や磁場を発生させるものや、やけどの可能性のあるものは、MRI装置内への持ち込みが厳禁されています。
磁気メディア、使い捨てカイロ、補聴器、クレジットカード、化粧品、吸湿発熱繊維(ヒートテック)といった脱着可能なものは検査前に取り外せば問題ありません。

検査可能な条件および金属

ステンレスの材質によっては、強磁性体の金属になるため注意が必要になります。また、身に着けている金属の中には簡単に取り外すことができないものもあります。医療措置として体内に埋め込まれる器具、いわゆる体内金属です。

現在では多くの場合、それら医療用の体内金属には、磁気の影響を受けにくい非磁体性のチタンが用いられます。体内埋め込み器具が非磁体性の金属のみで構成されているのであれば、MRI検査を受けることが可能です。

検査可能な体内金属としては、MRI対応の血管や管膣臓器内の金属(フィルター、コイルなど)・整形外科的金属(チタン製)・胸骨ワイヤー・金歯・銀歯などが挙げられます。

検査禁止の体内金属や機器

構造的に電子部品を用いている類の体内埋め込み器具が身体に付属されているケースでは、MRI検査が受けられません。

ペースメーカーはMRIの磁気により故障してしまうおそれがあるため、検査対象から外されます。
人工内耳の金属素材はチタンと白金からできているため問題ありませんが、対外部の送信アンテナは体内部の受信アンテナと頭皮を介して接しており、MRI検査を実施すると強力に吸引されてしまうため禁忌とされています。

他にも、チタン製以外の脳動脈クリップ、体内埋め込み式インスリンポンプ、スワンガンツカテーテル、磁石式人工肛門は材質に関係なく検査が禁止されています。MRI検査を行う上で特に注意しなければならない項目ですので、必ず覚えておくようにしましょう。

条件付き可能な体内金属や機器

MRI対応製品の開発や機器の技術向上により、検査可能な体内金属や機器も増えてきました。そういった背景を踏まえつつ、MRI検査可・不可を判断する条件が定められています。それらを下記に記します。

・冠動脈ステントや大動脈ステントは、通常操作モードでのみ検査の安全性が担保されており、留置後3か月以上経過していることを条件に検査可能
・人工弁は1970年以前の製品は禁止
・避妊リングはMRI対応の製品なら可能
・V-Pシャント留置は検査後に専門医による圧確認が必須
・インプラントは取り外せば検査可能ですが、受け側が磁石の場合は同意書の記入が必要
・入れ墨・タトゥーには同意書が必要
・義眼は磁力で付着するタイプは禁止、金属以外の場合は取り外して検査

以上のように条件付けがされている製品に関しては、入念な確認が必要となります。

まとめ

医療技術は常に更新されていきます。体内金属の材質はMRI検査にも対応できるよう製品改良が進められています。それに伴い、患者さんに使われている体内金属がMRI検査に対応可能かどうか判別する重要性も増していくことでしょう。MRIに対する安全性が保証された製品かどうかしっかり確認するため、問診表と口頭によるダブルチェックを怠らないようにしましょう。

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