手術台とその寸法

治療用機器

手術台は、患者さんが手術を受ける際に身体を預ける器具です。手術台の歴史は古いのですが、より医療が高度化した現代では様々な術式があり、その術式に応じて手術台の寸法も変更します。どの様なタイプの手術台があるのか、また近年新しく出てきた手術台の方式などに触れながら手術台の寸法をご紹介します。

手術台の役割

手術台はその名が示すように、手術する際に使用する台を主体とした医療器具であり、医療者側にとっても患者さん側にとっても重要なものです。

医療側から言えば術を行い易いかどうかは重要なポイントになります。患者さん側から言うならば長時間の医療行為を受けていて、負担や苦痛のかからないものが望ましいでしょう。ではその手術台は、一体どのようなものがあるのでしょうか。幾つか例にとって見ていきましょう。

〇手術台の種類について
【メディファ社 700300万能手術台】
応用範囲は、万能、耳鼻咽喉科、神経科、整形外科、腹腔鏡検査、皮膚科、内視鏡用など
作動形式は電動式です。機能性としては、高さ調整可能。キャスター付き、トレンデレンブルグ体位、逆トレンデレンブルグ体位など可能。患者さんの体躯タイプは肥満の患者さん用544Kgまで
台の寸法は2180mm・幅は550mm・サイドレールは610mm。

※因みに、トレンデレンブルグ体位とは患者さんの下肢が頭より高くなっている状態で、腹部などの手術に適しています。また逆トレンデレンブルグ体位とは、患者さんの下肢が頭より低くなっており、頭や首の手術に適しています。

【メディファ社 HFMH3008AB整形外科用手術台】
応用範囲は、整形外科、婦人科用、荷尿器科、耳鼻咽喉科
作動形式は、油圧式。
機能性は、高さ調整可能、トレンデレンブルグ体位、逆トレンデレンブルグ体位に可能
台の寸法は2010mm・幅は500mm。

【メディファ社 AGA-OP-POWER-MATの婦人科用手術台】
婦人科専用。作動形式は油圧。
機能性は、高さ調整可能、キャスター付き、トレンデレンブルグ体位で使用可能。
台の寸法は1900mm・幅は500mm。
婦人科専用なので、その特性として両足が開いて脚部は伸縮が可能。
最大荷重は150Kg。

【メディファ社 500ECO 眼科用手術台】
これは、患者さんが座って術を受けるタイプの手術台です。
応用範囲は、眼科、皮膚科、顎顔面外科。
作動形式は電動式。
高さの調整可能。
肘掛け付き。

【タカラベルモントメディカル事業社 DR-8800の外科用手術台】
この台は全面的にフラットに近い形状をしており、「テーブルトップ・スライドシリンダー」を台の側面上方に付けることで、より広い透視領域を持っています。台の枕板や脚板などの差替え機能とテーブルトップスライド機能を合わせて、より広い透視領域を持っています。

手術応用範囲は、眼科、脳神経外科のマイクロサージェリー、胸部外科手術まで幅広く対応します。作動形式は電動油圧式。台の寸法は2063mm・幅は500mmです。また、頭上方に25°、頭下方に25°傾けられます。更に右上方に25°、左上方に25°も傾けられます。

上記見てきました様に、術式台により台自体の寸法が若干違っていることがお分かり頂けると思います。

因みに、一般的なクリニックなどの診察台は、平均して寸法180センチ、幅は60センチが通常のサイズです。

近年の新しい手術台

以前は、手術台にキャスターが付いており、手術室から手術室へ手術台を移動して手術を行っていましたが、近年「手術台の支柱埋込み方式」が出てきました。この埋込み方式の台によって、自由に台だけを換えることにより1台の手術台で多様な手術が可能となり、準備も容易になりました。

1室1台となることにより手術台付属器具の規格統一が行えて、看護師も手術台操作に慣れ易くなりますが、その逆に各科の手術が高度に進化するほど、台も手術体位に合ったものが望まれて、その結果として一つの手術室・手術台がその科専用となる傾向にあります。

この様な両面を満たすものが、支柱埋込み方式です。台や脚牽、体位固定器、上器などを 着脱することによって手術・検査・処置が可能になりました。

まとめ

今回は手術台を用途・タイプ別にお伝えしました。また手術台の寸法については、術式台によって台の寸法が若干違っていることがお分かり頂けたと思います。医療器具に対する理解の手助けになれば幸いです。

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