睡眠時無呼吸の簡易検査や精密検査に用いられる、ポータブル脳波計など

生体現象測定記録・監視用機器

最近では「睡眠時無呼吸症候群」という名も知られてきました。しかし、当人以外にはその辛さなどが分かりづらい病気です。さらに、その症状があるにもかかわらず本人さえも自覚がないようなこともあります。今回は睡眠時無呼吸症候群の脳波計検査における、簡易検査と精密検査、ポータブル脳波計などについて触れています。

SAS

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気という漠然としたイメージを持っている方もおられることでしょう。実際には無呼吸になっている間の時間や回数、日中の眠気の頻度などを調べて診断されます。SAS (Sleep Apnea Syndrome) とも言われています。

無呼吸とは10秒以上呼吸が止まるような状態です。それ以外にも換気の低下にくわえ、SpO2 (動脈血酸素飽和度) が3%~4%以上低下したような状態、または覚醒を伴う状態を指す低呼吸があります。それらが約7時間の睡眠中に30回以上、1時間あたりでは5回以上くり返される状態が無呼吸症候群と言われています。

睡眠中にそのようなことが起こると、身体は低酸素の状態となります。これを毎晩くり返すことで健康にも影響が生じるわけです。しかもそれが継続して起きることで、心臓や血管系の病気または生活習慣病と関連してきます。

AHI

上記でも触れた睡眠中1時間あたりの「無呼吸・低呼吸」を合計した回数を「無呼吸低呼吸指数」と言います。Apnea Hypopnea Indexの略で「AHI」とも呼ばれています。この指数によって重症度を分類します。

〇軽症:5 ≦ AHI <15
〇中等症:15 ≦ AHI < 30
〇重症:30 ≦ AHI

原因診断

精密検査を行う前にスクリーニング検査を行うことがあります。医療機関から機械を借りて自宅で可能な「簡易検査」を行うわけです。鼻の下・手の指・胸の3箇所にセンサーをつけ、睡眠時のイビキや呼吸状態などを測定します。

この簡易検査の結果によって、さらにより詳しい検査が必要だと判断されれば、医療機関に一泊して「精密検査」を行います。それらの検査でわかった数値は、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法といわれる「CPAP治療」において、保険適応となるかという大切な指標にもなります。

その他の睡眠障害

これまで触れてきた、睡眠中の異常な呼吸などが影響を及ぼす「睡眠時無呼吸症候群」の他、循環器疾患、心不全や高血圧、血管性障害や脳血管障害、神経症、うつ病、統合失調症など多くの身体や精神疾患などで、不眠症状が出現することがあります。

このような各種疾患と睡眠の相関解明や睡眠薬の効能や効果の評価に、睡眠時の脳波を調べることはとても有効だと言えます。昨今の医療機器は小型化や軽量化が進んでおり、コンパクトなポータブルタイプの脳波計を導入し、在宅でも活用されるケースが増えています。

ポータブル脳波計測

慢性的に起きる睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下などを引き起こす原因にもなります。その他、記憶力減退や精神機能の低下、自律神経機能、体内のホルモン分泌への影響などもあります。ヘッドセット式のポータブル脳波計測を行うことで、睡眠関連の医薬品などの効能効果をみることも可能となるでしょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に起こるため、気づきにくい病気です。最近は高い安全性と品質が担保された、小型でポータブルな睡眠脳波計も多く存在します。それによって、日常状態での脳波測定や睡眠時の脳波計検査も可能になっています。

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