脳波計の時定数とは何か?脳波計の原理について

生体現象測定記録・監視用機器

約140億個の神経細胞からなる人間の脳。
脳波とは大脳の表面近くに位置する樹状突起に生じたシナプス電位や後電位などの電位変動を増幅したものになります。
今回このような脳波を測定する際に使用する脳波計について、またその脳波計を利用する上でポイントとなる「時定数」について紹介していきたいと思います。

【脳波計の原理】

脳波計の仕組みを簡単に説明すると、神経細胞が情報伝達する際に電位の変動により化学物質を放出する際の電圧を、多数の電極をセンサのように使って測定する機械ということができます。
脳波計の使用目的としては、脳活動の解析やてんかん、脳の損傷、意識障害などの診断が挙げられます。

【脳波計の測定方法】

頭に電極を付けて安静な状態で測定します。
他の測定も兼ねてシールドルームで測定する際には2時間程かかる時もありますが、最近では普通の病室で測定できるポータブル型の脳波測定器もあります。

【周波数によって変わる脳波の種類】

脳波の周波数は大きくδ(デルタ)波、θ(シータ)波、α(アルファ)波、β(ベータ)波に分類されそれぞれの周波数は0.5~3Hz、4~7Hz、8~13Hz、14~30Hzとなっています。

また、このHzについてですが、1秒間当たりの振動回数を表す周波数の単位のことで1Hzは1秒あたり1回の振動ということになります。

さらにそれぞれの脳波の特徴としては、熟睡時・昏睡状態の時に出るδ波、深いリラックス状態・浅い睡眠時に出るθ波、心身共にリラックスした状態の時見られるα波、緊張時やストレスを感じたときに見られるβ波ということができます。

【脳波計の時定数とは】

脳波計の時定数とは較正電圧を入れたときに振幅が37%以下まで下がるのに要する時間のことを言います。
この時定数が小さいほど経過の遅いδ波やθ波などの徐波部分がカットされ、より周波数の速いβ波などが計測されることになります。つまり時定数の大きさと脳波計によって記録される脳波の周波数の速さは反比例することになります。

脳波を測定するとき一般的にこの時定数は0.3(秒)で測定することになります。

【まとめ】

いかがでしたか?
今回説明して参りました脳波計というものの基本的な仕組みについてお分かりいただけたでしょうか。脳波の研究は今から90年ほど前にドイツの精神科医ハンス・ベルガーによって始まったとされています。それから90年余りの時を経て今ではペーパーレス型のデジタル脳波計が誕生しようとしています。脳波計の原理・時定数の内容について少しでもお役に立てれば幸いです。

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