脳波計の入力インピーダンスとは何か?

生体現象測定記録・監視用機器

「脳波計の入力インピーダンスとは、一体なんなのか?」、そもそも「脳波計は何を計測し何を調べるためにあるのか?」このあたりから知る必要がありそうです。では、脳波計で分かること・入力インピーダンスについて見ていきましょう。

脳波計のあれこれ

脳波計の仕組みから説明していきましょう。脳波計は、体の神経細胞が出す電位差を測るものです。これは電圧であるため単位はV(ボルト)になりますが、とても微弱なものであるため、皮膚の上に貼り付けた電極間の電位差をアンプによって増幅したうえで計測する機械です。基本的には、頭に20個程の電極をペースト状のノリで貼り付け、脳の活動による微弱な電気信号を測定してその変化を記録します。

入力インピーダンスとは

入力インピーダンスとは、計測工学では基礎と言われています。インピーダンスとは、日本語でいうところの「抵抗」の事です。「入力インピーダンス」=「脳波計内の抵抗」のことをいい、単位はオーム(Ω)です。基本的には入力インピーダンスは、高いほど良いとされています。入力インピーダンスを高くするためには、アンプの性能次第という事です。

接触インピーダンス

では、「接触インピーダンス」=「電極と頭皮の接触面」 2つのインピーダンスがあるわけですが、これはインピーダンスを落とす(抵抗を落とす)ことでノイズが小さくなります。逆に言えば、落とさなければノイズが大きくて脳波を測定できないという事です。

抵抗を落とすには測定時に皮膚の角質を落としたりと、事前に処理をすることで下げることができます。

回路の説明

基本的に電極を取り付けた頭皮上を簡単にしたものとします。

〇入力インピーダンス=「Zi」とすると脳波計内部の抵抗
〇接触インピーダンス=「Zs」とすると皮膚などの角質組織の抵抗
〇電位差(知りたい脳波)=「E」
〇アンプに入る電位差=「V」

【分圧の法則】
V(アンプ)=Zi(入力) + Zs(接触) / Zi(入力) × E(知りたい脳波)

理想としては V(アンプ)=E(知りたい脳波) になればよいのですが、接触インピーダンスがあるのでそうはいきません。そこで、接触インピーダンス(Zs)と入力インピーダンス(Zi)が同じであったら、V(アンプ)=E(知りたい脳波)/2となります。つまり測定できる電圧が半分になるということです。

Zi(入力)/Zi(入力)+Zs(接触)を1に近づけることで、V(アンプ)は、E(知りたい脳波)に近づくことになります。すなわち、Zi(入力)を大きくする(高くする)、Zs(接触)小さくすることでより正確な測定ができるということです。

脳波計でわかること

脳神経外科などでは、主にてんかんなどの診断や頭部を強打した場合などの検査に使用します。その他には、頭痛やめまい・脳血管障害・神経疾患などがわかります。

まとめ

脳波計と入力インピーダンスについて説明してきました。上記で紹介した、脳波計でわかること以外にも沢山の使い方があります。体温計や血圧計のように、家庭でも簡単に脳波が測定できるようになってくるのも遠い未来ではないようです。

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