診断と治療を可能とする「ファイバースコープ」とは?

診断用機器

束になった柔らかい光ファイバーの一端にはレンズ、もう一端にアイスピースを付けたもので、画像を先端から取り込み管を通して反対側から入手できるものです。
不透明な物体の内部が不透明な場合など、少しの隙間に入り込みその内側を確認することができます。

ファイバースコープ誕生の経緯とは?
1960年代、グラスファイバーという新しい素材がアメリカで開発され、色々な分野で注目を浴びたわけですが、医療の内視鏡分野でもこの素材にいち早く着目します。
曲がっても端から端まで光を伝えることができるガラス繊維の特性を、内視鏡に取り入れることによって胃の中を直接見ることに成功しました。
その後、1964年、ファイバースコープ付胃カメラが登場し、リアルタイムで胃内を確認しながら写真を撮ることも出来る様になったのです。

ファイバースコープからビデオスコープへ進化
1990年代になると光ファイバーの束を使って映像を投影するファイバースコープから、超小型撮像素子(CCD)を先端に取り付けたビデオスコープへと進化してきました。
ファイバースコープの10倍以上の解像度があると言われているビデオスコープを使った検査は、より精細な映像を確認することが出来るだけでなく、ケーブルを使って映像を電送することにより、10mを超える長さまで使用することが出来ます。
2005年頃になると、先端に高輝度LED照明を取り付けることで、画像記録機能付き小型化、低消費電力バッテリ駆動、そして挿入部の耐久性を向上させることが実現されています。

様々な分野で活用されるファイバースコープ
ファイバースコープは医療現場だけでなく、色々な分野で幅広く使われていますが、例えば災害救助用スコープ、コンピュータ修理、機械加工、錠前業、さらにはスパイ活動や金庫破りなどにも使われるほどです。
機械分野では目的部分に対して簡単なアクセスが出来ないほど、高密度に実装されている装置内部を点検するといった目的で使われています。

医療の現場では欠かすことが出来ない器具
医療の現場ではファイバースコープ付胃カメラとして使うことで、目を持たない胃カメラの欠点を解決し、直接胃の中を観察できます。胃カメラの時代は終わり、現在は完全にファイバースコープの時代になったと言えるでしょう。
動的な分析なども出来るので、高度な質的診断が可能になるといった画期的な器具ですし、新しい発想や技術、材質も検討され続けています。
内視鏡の対象領域は、胃に留まることなく、食道や気管支、十二指腸、大腸、胆道などの分野に広がりを見せて行くことになります。診断と治療ができる様になったことで、現在の医療現場では欠かせない器具だと言えるでしょう。

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