心電図検査における「右心負荷」について

診断用機器

心電図検査において「右心負荷所見」が見られることがあります。そもそも心電図における「右心負荷所見」とはなにか?そして「右心負荷」から疑われる疾患名には、どのようなモノがあるのか?などを見ていきたいと思います。

心電図検査 とは

心臓は「洞結節」という部分から周期的に電気を発生していて、それが心臓の筋肉に伝わることで収縮・拡張し、全身に血液を送っています。心電図検査ではこの電気の状態を調べ、心臓が正常に動いているか?損傷がないかどうか?を調べるものです。

右心負荷とは

心電図検査において通常の波形とは、まず小さなP波に続いてQRS波、そして陽性のT波が続くことを意味します。ところが時折「T波陰性」という波形が見られることがあります。
これは心臓に負荷がかかっている可能性があり、他の検査結果などと合わせ総合的に判断しなければいけません。特に注意すべきは「右心負荷所見」で様々な疾患に結びつくこともあります。

右心負荷から疑われる疾患

「右心負荷所見」から疑われる疾患を次にまとめていきたいと思います。

肺高血圧症

肺高血圧症とは、心臓から肺へと続く血管の血圧(肺動脈圧)が上昇し、心臓と肺に機能障害を発生させる予後不良な進行性の疾患群です。肺動脈圧が上昇する原因として、肺動脈が狭くなる、あるいは硬くなることで、血流が悪くなるためです。

肺高血圧のとき、血流が悪くならないよう、狭い血管を多量の血液が流れるよう心臓が頑張るので、肺動脈圧が上昇します。これが続くと右心不全を引き起こします。

肺塞栓症

肺塞栓症は「エコノミー 症候群」とも呼ばれています。飛行機のエコノミークラスなどの狭い空間で長時間同じ姿勢でいると、足の血流が悪くなり血栓ができやすくなります。飛行機を降りた後歩き始めると、血栓が血流にのり肺の血管(肺動脈)を詰まらせてしまいます。

虚血性心疾患

心臓に酸素や栄養などを送っている血管を冠動脈といいます。この冠動脈が動脈硬化や血栓などで詰まり、心臓に血液が循環しなくなることで起こる疾患です。動脈硬化とは老化により血管が硬くなったり、脂肪などの塊が血管に蓄積し狭くなっている状態です。

冠動脈が動脈硬化で狭くなると、血液の流れが悪くなり、心臓に必要な血液が不足して胸が痛くなることがあります。これが狭心症です。また、動脈硬化がすすみ、冠動脈が血栓などで完全にふさがった状態を心筋梗塞といいます。

まとめ

ここまでいろいろな心臓の疾患を書いてきましたが、心電図検査で「右心負荷所見」が出たからと言って、直ちにこのような疾患が疑われるというものではありません。正しく疾患を特定するには、心電図以外の様々な検査結果も総合的にみて判断するものです。

心電図における右心負荷は心臓には負担がかかっている状態です。普段の生活から健康に対する意識を高めておくのも大切だといえるでしょう。

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