麻酔器の点検「リークテストの方法」における留意点

治療用機器

麻酔器は医療機器の一部として、日頃から安全に使用する為の取り組みを必要としています。機械装置の部分やそれに付属する機器類においても、安全性と使用性能の確認が必要であり、事故や緊急時を回避する為の有効な保守管理が必要です。麻酔器の点検の一部には「リークテスト」があります。これらの使用を安全に取り扱う為の、リークテストの方法について紹介しましょう。

麻酔器の仕組み

手術に必要となる麻酔器は、ガス供給部分から作り出す「麻酔ガス」による効果で痛みを和らげており、施術の進行をスムーズに実行する為の手段と、安全に自動で呼吸を補助する呼吸回路部の部分からの仕組みになっています。

麻酔器の点検での「リークテスト」方法

リークテストとは、真空装置からボンベなどのガス漏れの事をリークとして捉えて、その保存状態の確認と使用時の安全性のチェックを目的としており、その不具合によっては、医療事故にも発展しかねない重要な取り組みと言えます。

加圧テストの実施によるチェック

患者に使用している回路のリークテストは、酸素ガスを回路に流し込む事で加圧する方法が行われます。

【1.通常の一般的な方法の場合】
新鮮ガス流量をゼロ、および最小の分量にしてから実施します。

患者の呼吸回路先端にある「Y ピース」を締め付けておき、APL弁を閉じた状態で、酸素の分量を毎分5~10リットルほど流し込み、呼吸バッグを30cmH₂O程度まで膨らませます。呼吸バッグを押す事で、回路内圧の分量を40 ~50cmH₂Oにしていきます。

この状態でリークが無いかの確認を行います。呼吸バッグから手を離す事で30cmH₂O程度まで戻して、内圧低下を確認するにはガスの供給を行いません。この時、30秒の維持での圧低下は、5cmH₂O以内である事が条件です。次にAPL弁を開いて、回路内圧の状態が低下する事を確認します。

酸素フラッシュは多量の100%酸素を瞬時に呼吸回路へ流す為の機能なので、緊急時に必要となる装置です。テスト時の流量が十分な量であるかの確認を行います。

このテストでは、大きなリークがある場合の判別として、回路の圧の維持が困難になるので、接合がゆるい状態では接合部分が外れる場合があり、接合不備を発見できる手段となります。

【2.低圧回路系の確認事項】
APL弁を閉じた場合の酸素量は「100 ml/分」です。分離した呼吸バッグを接続口と「Y ピース」を両手で閉じる場合や、または別の蛇管を使っての接続を行います。この場合の回路内圧が「30cmH₂O以上」である事を調べます。そして、圧力が上昇しないようにゼロまで戻します。

このテストでは、ニードル弁から呼吸回路全体における漏れの状態を確認しますが、漏れがある事は実証しているので、数値が「30cmH₂Oまでは、100 ml/分以下」である事がメーカー発表によるものです。また、これらの呼吸バッグ接続口間のリーク確認は、この方法だけでは不十分の為、1番の通常の方法でもチェックを必要とします。

※麻酔器の種類によっては、最小値に合わせたチェックを行います。

気化器内の場合やその周辺のリークの確認には、個々の気化器をオンにして調べる方法が望ましいです。そして、フローメーターと共通ガス流出口との間のリークの場合は、つなぎの部分にチェックバルブ(一方弁)がある場合もあるので、これに対しては陰圧テストが必要となっているので注意すべきです。

一方、自動リークテストに対しても個々の気化器でテストすべきであり、特に気化器の取り換えではリークの再確認を行いましょう。

※低圧回路系の確認には臨床工学技士による保守点検、あるいはメーカーによる定期点検の必要性を認めます。

【3.二酸化炭素吸収装置の場合】
特に注意が必要な部分であり、ネジのゆるみや接続部のパッキンの破損や劣化、ゆるみなどの確認と二酸化炭素吸収剤の粒の付着によって、不完全な密閉状態を作り出して問題や危険性を及ぼすおそれがあります。チェックの方法は、上記した加圧テストによって判別できます。

まとめ

麻酔器の点検でのリークテスト方法は、人命の安全と医療機器使用のリスクの回避にもつながる重要な点検です。ガス漏れは人体への影響や引火の危険性もあるので、取り扱いには十分な注意が必要であり、臨床工学技士などの指示に従って行われる方法となります。

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